バッハ:無伴奏ヴァイオリンのためのソナタとパルティータ
「生ける伝説」イダ・ヘンデルによるバッハの無伴奏ヴァイオリンソナタとパルティータ
全曲です。録音は1996年で、最高度のアナログ録音により収録されています。
非常にゆったりとしたテンポで、1音1音を噛みしめて慈しむように演奏されています。
(例えば、パルティータ2番「シャコンヌ」の演奏時間は18分を軽く超えています。)
もはやコメントすることすらおこがましくなるような至高の領域に入っている演奏です。
シェリングの洗練された演奏やクレーメルのシャープで深い演奏など、名盤に事欠かない
バッハの無伴奏ですが、イダ・ヘンデルの至高で現世と彼岸の淵に達するかのような深い
演奏は他に例がないように思われ、バッハの無伴奏が好きな方はぜひ聴いていただきたい
演奏です。
グラズノフ:ヴァイオリン協奏曲
イダ・ヘンデルという旧東側屈指の女流ヴァイオリニストは、もともと綱渡りをするような技巧で聴かせるヴァイオリニストではない。
冷徹と表現してもいいほど常に冷静に淡々と難曲をこなしていく、音で聴かせるタイプの演奏家である。
そしてその音には飾り気こそ無いが、ダイレクトに感情をぶつけてくるような静かな迫力がある。
まったく女性には珍しいヴァイオリニストである。
年齢不詳で有名なイダではあるが、1965年というといわゆるアラフォー時代にあたる録音である。
円熟した彼女らしい、安定感のある技術と独特な音が素晴らしい。
一方バックのスメターチェクであるが、彼には珍しいほど抑え気味の演奏をしているのが興味深い。
おそらく冷静なイダ・ヘンデルに合わせたのであろう。
同じ頃彼は、情熱むき出しでぶつかってくるようなヴィクトル・ピカイゼンのソロでヴィエニアフスキの第1番のバックをつとめたが、その時は同じプラハ響と火の玉のような爆演でソロに対峙していたものだ。
彼の変幻自在は有名だが、なかなか一筋縄ではいかない老獪なマエストロである。
名ヴァイオリニストの歴史 ヨアヒム、サラサーテからサラ・チャンまで
演奏者の写真付きのプロフィールもありがたいし、これだけの巨匠達を一度に聴き比べることが出来ます。演奏者の個性に合わせて曲も短いながら特徴のあるものが選ばれているようですし、簡単な説明も付いています。ディスク1枚めから、だいたいの年代順に収録されています。ヴァイオリンを専門的に学ぶ方から、初心者の方も、ヴァイオリンの魅力と歴史の流れに、触れる事の出来るCDです。この5枚のなかからお気に入りの演奏者や、好きな曲が増えました。