症例A (角川文庫)
心の病に関わる医師や、患者の苦悩等の描写がものすごくリアルなので、
小説に書かれた出来事から、距離を保ちつつ読まないと、ちょっとまずいかも。
特に、精神疾患に心当たりがあって、知見を得るために、この手の小説を読む癖のある人、
物語を用いて自己分析をする癖のある人は、読まない方が良いと思った。
リアルすぎるが故に、フラッシュバックの恐れがあるかもしれない。
精神病について知りたい人は、スリリングなストーリーと
膨大な情報量がとても魅力的に映るだろうけれど、
とにかくリアルすぎる。
フィクションとしてはとても読み応えがあるし、
薄っぺらい眉唾小説とは違う事がわかるので、オススメですが、
警告はした方がいいかなぁと思ったので、書かせていただきました。
海賊モア船長の遍歴 (中公文庫)
不可解な事件で最愛の妻を失い傷心にくれていたモアはかつての同僚に拾われ海賊討伐のための武装船『アドヴェンチャーギャレー』の水夫となる。そして紆余曲折を経て海賊船『アドヴェンチャーギャレー』の船長に。バロンやアカハナなど個性ゆたかな船員ともに順調に戦果をあげていくが・・・
海賊というと野蛮そのものというイメージがありますが、この本に描かれているモア一味は本当におもしろく良い男達です。モアは頭脳派で人望も厚く、様々な困難を機転や幸運で乗り切っていく様がこの本の醍醐味です。また海賊というと子供向けの冒険物のように感じるかもしれませんが、この本には当時の列強の関係や交易などもリアルに描かれており、大人が読んでも勉強になります(もちろん子供さんも冒険物として!!十分楽しめる)。隠れた名作
少年たちのおだやかな日々 (双葉文庫)
タイトルは「少年たちのおだやかな日々」とありますがとんだ皮肉で、エグい内容がこれ以上ないくらいにちりばめられています。 思春期の少年少女たちが行う様を淡々と書き連ねた文章は背筋をひやりとさせ、読み終えた後も記憶に残ること間違いなしです。ただ、私自身が登場人物と同じ年頃のせいもあるのか、読み終えた後に名状しがたい不快感がのこりました。