イザイ:無伴奏ヴァイオリンソナタ(全6曲)
イザイのソナタは難しい。
曲の魅力はあるのに、どうしてもテクニックの面でしか興味がわかない諸兄も多かろう。
加藤の演奏は確かなテクニックでこの名曲を深く彫琢する様に演奏することによって、イザイの目指したヴァイオリン音楽の一つの頂点を表現しようとしている。
聴いていると時には厳しく、時には優しい不思議な感覚を覚える。
表現的に硬い部分があるが、これは加藤の強い思い入れの具現化したものであろう。
こういった厳しい響きのイザイは嫌いではないが、もう少し肩の力を抜いて聴けてもいいのでは、と感じたところもあった。
音色的には松田理奈の演奏よりもこちらの方が好み。
すてきなタティングレース―3ステップでここまでできる ( )
NHK出版より盛本知子先生の本が出ました。
パラパラと本文をめくると、NHK教育のすてきにハンドメイドでレッスンした作品が
一部掲載され、一冊にまとめられています。
番組のなかで参考作品や、作品紹介で出ていたショールなどもの作り方もでており
お得感がありました。
色遣いや、糸の特性などが取り上げられていますが、基本ステッチやスプリットリングなど説明が
初心者には難しいのでは?という感じのものもありました。
藤戸先生のお嬢様ということもあり、デザインの美しさ、色遣い、繊細さはさすがです。
小物から大型のドイリーまで、なかなか良い買い物ではないでしょうか?
酒井抱一と江戸琳派の全貌
姫路市立美術館、千葉市美術館、細見美術館と巡回する『酒井抱一と江戸琳派の全貌』の図録です。
376ページの作品図版338点がすべてカラーですし、資料編として130ページ弱の作品紹介や解説が加えられています。紙質もしっかりしており、収録作品とあわせてコストパフォーマンスの高い美術書でした。美術展の図録はお買い得ですが、本書は特にそうですね。なにしろ、これだけ酒井抱一(1761〜1828)とそのお弟子筋にあたる鈴木其一ほかの江戸琳派と呼ばれる絵師の作品が収録されているわけですから。
なお編者と解説は、千葉市美術館の松尾知子氏と細見美術館の岡野智子氏です。なお、細見美術館は好きで年に数回訪れますが、コレクションの質の高さにひかれています。
酒井抱一は良く知られているように譜代大名の家柄に生まれながら、30代で城を離れ出家し、いわゆる隠遁生活を送りながら好きな絵画と俳句の世界に身を投じました。その生きかたは現代人にとっても羨ましい一面を感じさせるものです。琳派の絵画展では必ずその作品が展示されるという江戸琳派の後期を代表する酒井抱一の作品をこれだけ多く鑑賞できる図録も少ないでしょう。
美術展は実際に作品と対峙できる機会なのですが、人気の展覧会ですと観賞者が多く、じっくりと細部まで観賞し辛いわけですが、図録ですと自宅で心おきなく眺めることができますし、展覧会の余韻にも浸れますので、ありがたい存在です。
詳しい解説を読むと、酒井抱一の人生だけでなく、江戸琳派の流れが頭の中で整理されていくようでした。
本書の章立てです。姫路酒井家と抱一、浮世絵制作と狂歌、光琳画風への傾倒、江戸文化の中の抱一、雨華庵抱一の仏画制作、江戸琳派の確立、工芸意匠の展開、鈴木其一とその周辺、江戸琳派の水脈
ハイヒールアセンション
「なぜ自分はこのような人生を生きているのか?」と「この世界の仕組みを知りたい。時間と空間はどのように成り立っているのか?」
心理と物理。まったく別物と思われる二つの疑問に、明快なひとつの解答が示される。「100% 思考が現実化する」
筆者がその波乱万丈の人生からいかなる疑問をもち、その解をどのように探求してきたのか。そして、1人の覚者に出会い、疑問に対する解答をどのように理解していったのかということが、丁寧に一言一言精査された言葉で記されている。
二人の賢者の問答の中に、読者は様々な個人の問題解決のヒントを見つけることができるであろう。そして、それらのすべてが、この世の中の仕組みを学ぶことにつながっていることに気づいたとき、身体が震えるほどの感動を味わうことになる。
読み物として。この世の理を知るための参考書として。何度も読んでみることをお勧めする。