ショパンに愛されたピアニスト-ダン・タイ・ソン物語
ダン・タイ・ソンは、ここ十数年でさらに活躍の場を広げ、日本にも多くのファンを持つピアニストである。近年、日本人、アジア人ピアニストに対する注目が、また集まっている気がするが、僕はダン・タイ・ソンこそがアジア人ピアニストの認知度を上げた立役者であると思っている。彼の演奏はCDを聴いてもらうしかないが、この本は、彼の生き方はもちろん、音楽に対する意見が述べられており、音楽が好きな人、ピアノ曲が好きな人には、違ういみで楽しい本だと思う。「あぁ、彼はこの作曲家をこう解釈しているのか。こんな考え方もあるのか」と、違う観点からいつものクラシック音楽を発見できるだろう。
それにしても、ベトナムの戦時下、戦火を逃れながら、紙の鍵盤でピアノを練習したというエピソードには驚いてしまった。今の日本の音楽教育環境は、一体なんなのだろうか…。彼のピアノに対する情熱には、敬服するとともに、一個人として「そんなにも傾倒できるものをもっていて、幸せだろうなあ」という感慨さえも抱かせてくれた本であった。
是非、クラシックに興味の薄い人も、この一流ピアニストについて興味を持ってもらいたいと思う。
ショパン:バラード全集 他
ショパンコンクールの覇者としてはいまいち地味な存在ですが、この人の弾くショパンはとても自然体で、我々日本人の心に深く染み入ります。特にバラード4番とソナタ3番は絶品で、これらの曲を弾かせたら現在活躍中のどのピアニスト(ポリーニ、アシュケナージetc)よりも上手いと私は断言できます。聞いたことのない方はぜひ聞いてみて下さい。
よって星5つ。
ベスト・オブ・ベスト/クラシック・ピアノ
リーフレットを読まずに、最初のリストの「ラ・カンパネラ」を聴いた時、これはもしかして、と慌てて説明を読みました。やはりフジコ・ヘミングでした。続くリストの「ため息」「泉のほとりで」もそうでした。独特の奏法ですし、解釈ですが、少し聴いただけで演奏家の姿が浮かび上がるような演奏はめったにありません。ピアノ演奏というと完璧に弾くということに主眼が置かれそうですが、楽譜の中に潜む作曲家の感情や思いを浮かび上がらせるような演奏はあまりありませんので、その意味において貴重です。絶大な人気があるピアニストだということがよく分かります。
ミハイル・プレトニョフが3曲弾いていますし、ダン・タイ・ソンが2曲、タチアナ・ニコラーエワ、スタニスラフ・ブーニン、エリック・ハイドシェック、ケマル・ゲキチ、仲道祐子などの有名なピアニストの演奏も収められていました。他の演奏者も当たり前ですが、物凄く上手です。音大生やピアノを練習している人にとって、お手本として聴かれるのでしょうね。かなり幅広い作品からの選曲ですから、ピアノの名曲を堪能したいという人にも好適でしょう。
通俗的な名曲も含まれていますが、今まで聴いたことのない楽曲もあり、楽しみながら4枚を聴き通しました。
リーフレットの解説は参考になりました。誰が書いたのかは分かりません。署名入りで載せてほしいですね。冒頭のコメントを書いた音楽評論家の萩谷由喜子さんでしょうか。
83曲もピアノ独奏曲が収められているわけですから、繰り返し聴いても飽きません。
ショパン名曲100
ダンタイソンの演奏が沢山入っていて、「ショパンの生涯」を書いたブックレットを読みながら、その素晴らしい技巧のピアノを聞いていると、 これはわずか16歳で作った曲か。 ピアニストとしてはこの中の誰に一番近い、どんなピアニストだったんだろう。と想像が広がり、 その悲しみや喜びにも満ちた人生や、あまりに早く亡くなった事が惜しまれてならず、 まるでショパンの人生と言う映画を見ているような気持ちになり、涙があふれました。 音楽には詳しくなくて、ただショパンの曲がとても好きなだけで、みなさんのレビューにひかれて買ったCDですが、搬送でケースにヒビ入ってましたが(涙) 買って損なし! お宝CDになりました! 入門編としても、ものすごく贅沢です! よくあるいいとこどりのサビだけシリーズではなく、ちゃんとした一流ピアニストの演奏がきちんと沢山聞ける! ティエンポとかヨッフェのCDは、超高いとか入手困難になってますね。 アマゾンでも入荷してないティエンポの前奏曲が全曲まるっと入ってます! 素晴らしい太っ腹です! ビクター万歳!