生きた正倉院 雅楽 [DVD]
日本人の文化とは何だろう、日本人の感性の源流とは・・・私を見つめた疑問がこのDVDで少し分かった気分です。
遠い時間に培われた日本の文化は大陸から渡来した文化と日本古来の文化が融合したもので私のルーツを知った思いです。雅楽のルーツを求め、シルクローロから敦煌、西安にまで遡り、雅楽の歴史変遷を集大成した本邦初作品ですね。
芝 祐靖氏の正倉院の復元楽器演奏と理論に圧倒されました。横須賀令子氏の墨絵アニメが何と素敵に仕上がっています。正倉院の楽面や宮内庁所蔵の管絃抄、四天王寺の聖霊会、春日若宮おん祭、伊勢神宮の悠久の舞台、五絃琵琶の調べなど古代の心が聞こえる豪華企画です。
最後の遣唐使 (講談社学術文庫)
少なくともこの頃の遣唐使は、大した政治的任務を帯びていなかったようである。遣唐副使の小野篁が渡航を拒否したのは、すでに民間レベルで大陸の人・物・文化・情報がもたらされていたため、莫大な国費と遭難の危険と言う代価を払ってまで遣唐使を派遣する意義が失われていたかららしい。それでも遣唐使を派遣したのは「鎮護国家」のためで、それに躍起になっていたのは上層支配層と天台・真言両宗の僧侶とのことである。
中型の新羅船に比べ、遣唐使船の遭難が多かったのは大型船であったためで、造船や操船の技術が低いためではなかったと言うことなども含め、新たに得られた知識の多かった著作である。
ヘブン・アンド・アース [DVD]
とにかく大人の男だらけの映画です。かっこいいの一言。唯一の華ヴィッキー・チャオもでしゃばらずに控えめ。そこがまたかわいい。
でもやはり中井貴一さんのかっこよさ。ファンになってしまいました。
天平の甍 (新潮文庫)
この本は、命がけで唐に留学した学生と、やっぱり命がけで日本に来てくださった唐のお坊様の物語です。小説なので脚色はあるとしても、この人たちが危険を冒して海を渡ったのは、歴史上本当にあった出来事です。
海を渡って何かを学ぶ/伝えるということが、当時の人にとってどれほどの覚悟がいることか、私は全く知りませんでした。
この本で、留学生の普照と栄叡が唐に渡ったとき「4隻の船で日本を出発し、無事に唐に到着したのが2隻」だったそうなので、日本から唐へ無事到着した割合は50%と言えます。復路にも同等の危険があるのなら、日本から唐へ留学して無事に帰国できる確率って往路50%×復路50%=往復25%ですよね。
この数字なら、留学に躊躇しますし、行ったら行ったで唐で何を学ぶのか、無事日本へ帰国できるのか、それは真剣に悩むことでしょう。
唐で認められていた高名なお坊様が、片道50%の危険を判って日本に行くと即決してくれて、しかも何度も失敗しても心変わりしないなんて、凄い方ですよね。
私はこの本の登場人物に遠く及ばない凡人ですが、皆が必死に悩み考え、諦めない様子を見て、背筋を正される思いがしました。
物語としても面白いし、本当にあった出来事だと知るとなお感動します。オススメです。