福沢諭吉 [DVD]
『文明論之概略』(岩波文庫)の輪読会をやっていました。仕事がおわったあとに、喫茶店や貸出会議室を借りて集まり、丸山真男氏の『文明論之概略を読む』(岩波新書)を参考に、古典を4人で読んでいくのです。
この映画も参考のために観ました。話の展開は奇をてらわず、作風がまじめであり、柴田氏のひたむきさが前面に出た佳作であったと思います。
TPP亡国論 (集英社新書)
野田総理は、TPPの内容をよく把握していないそうで、その状態でこんな危険なものへの参加へ向かってるなんて開いた口が塞がりません。この本を野田総理に読ませたい…。今後日本はどうなってしまうんだろう。国民はもっとTPPとそれに対する政府の対応について知るべきです。
学問のすすめ 現代語訳 (ちくま新書)
福沢諭吉の名著を斎藤孝が現代語訳し、現代の文脈の中で蘇らせた一冊。
人間の平等をうたいあげ、区別するのは学問だけだとする。それは主に実学のことであり、人々はそれぞれの責務をまっとうし、個人の自立を目指す。自由と分限とを守り、国家と協力して正義や秩序のために法を守る。
そのことが国家の平等や自立につながる。洋学者に期待するところは大きいが、西洋礼賛でも困る。あくまで是々非々主義でいかねばならない。物事の理非を判断する力を持ち、向上心をもって競争に励む。男女は同権であり、観察や推理にもとづく科学的精神を持ち、品性を磨き、経済的感覚を持たねばならない・・・。
ざっとポイントを並べただけでもこれだけである。当時の情勢にあって日本が必要な近代の精神を説いたものである。個人主義、国民主義、立法主義、法治主義、合理主義・・・近代を近代たらしめるキーワードに満ちている。「古臭い」というイメージがあるかもしれないが、むしろ極めて進歩的というべきであろう。
斎藤氏の解釈もおみごと。「個」「公」「国」が矛盾なく良い方向に動く「福沢スタイル」を論じている。疲れ切った日本であるが、今一度読み直す価値があるのは確かである。
スマイルズの世界的名著 自助論 知的生きかた文庫
「人生の奥義の9割は、快活さと勤勉にある」
「どんな逆境にあっても、希望を失ってはならない」
「わずかな時間も無駄にせずコツコツ努力を続けていれば、大きな成果に結びつく」
人生を正しく強く生き抜くための金言が溢れ出す。150年ほど前の英国で出版された本書。年を経ても金言の貴重さは変わっていないことに驚かされる。当時の日の沈まぬ帝国は、このような実直で聡明な人々に支えられていたのだと考えると、合点がいく。
「ビジネスにおいては言行一致が大事」「困窮は厳しいけれど最良の教師」と、後半に入っても実直さを称える金言は続くが、読み進めて正直言うと疲れてしまった。オンがあればオフがあり、陽があれば陰があるのが人間なのだと思うのだが、休日を娯楽でなくこの本読むのに使え、とでも諭されているようで、苦しくなってしまった。スマイルズさんだってたまには娯楽の読書とか友人とのおしゃべりとかを楽しんだんじゃないの、と思ってしまうのは娯楽に溢れた現代に生きる者ゆえだろうか。