アラビアンナイト シンドバッドの冒険 [DVD]
手塚治虫が好きだったのとディズニーのアラジンの日本版みたいなものかな?と気になり見たところ、とっても面白かったです。
ピノキオやトムとジェリーに似ているなというシーンもあるんですが、絵が美しく台詞など全体的に上品で好きです。
アラジンと比べるのもおかしいかもしれませんが、私はこの作品の方が好きです。
特に終わりの方の洪水のシーンにて、シンドバットがお姫様たちを助けたくても水の力はどうすることもできず神様に祈っているシーンが印象的でした。
人間の力では解決できないこともあるというところが自然な流れで好きです。
黒澤監督の時代劇に出てくるような凛とした日本の姫という感じのお姫様が登場します。
中学生頃はアラジンのジャスミンに夢中になりましたが、30代の今となってはこちらのお姫様が好きですね。
この映画をきっかけに他の東映の長編アニメ見てみたところどれも面白くて驚きました。最近古い作品にハマってます。
私が子供の頃はアニメの映画といえばジブリやディズニーくらいしか知らなかったから、こんな素敵な作品が日本で作られていたなら子供の頃に出会いたかったです。
白きたおやかな峰 (河出文庫)
ヒマラヤ山脈のディラン峰に挑む『遠征隊』を描いた登山小説である。
著者が実際に同行した登山を基にして書かれた作品でもある。
初出が昭和41年と古いので、登山技術等において現代に合致していない部分もあるのかもしれないが、そんなことはまったく問題ない。素晴らしい小説である。私は中学生のときに始めて読んで以来この作品を何度となく繰り返し読んだ。
透明で叙情的な文章、世俗的でもあり哲学的でもある魅力あふれる登場人物、そして彼の作品に必要不可欠な決して下品にならないユーモア。この作品には北杜夫のもつ、”ある暗さ”以外の全てがあると思う。
透明な文体は作品全体を覆っているが、叙情的な表現はディランを含む自然を表現するのみである。登山家達の登頂の姿にそれはない行動の描写が殆どである。これが、圧倒的な自然に挑むちっぽけな人間の姿を描き出すことに成功している要因の一つであろう。そして、『山』を表現することに関してもこれ以上の作品を目にしたことがない。
登山あるいは登山家を描いた作品は数あれど、この『小説』を超える作品はそうないのではないか。
なお、著者の「楡家の人びと」を絶賛した三島由紀夫がこの作品を酷評した。その内容は北杜夫の「人間とマンボウ」という作品に収められている。文学者三島が言っていることはなんとなくわかるような気もするが、文学者でない私にはちょっと難しかった。
楡家の人びと 第1部 (新潮文庫 き 4-57)
とにかく面白い。たとえ、ブンデンブローク家の人々を読んでいても、それとはまた違う味がある。それは、市民を書いていてそこに気品が漂う作品である。
この単行本の時の読んだが、こんどまた文庫版で読むと昔見逃していた点が見えてきて、面白さが加速する。
楡喜一郎も魅力と、俗物性がいろんなめんで面白さをひきつけている。
戦後でも指折りの小説に入ること請け合い、
北杜夫 ---追悼総特集 どくとるマンボウ文学館 (文藝別冊/KAWADE夢ムック)
「どくとるマンボウ青春記」のレビューにも書いたが、北杜夫との出会いは1960年代の初め、古めかしい上野の図書館であった。偶々、手に取った『幽霊』の今までにない文学の瑞々しさに魅せられて長くファンとなった。
巻末の年譜で確認すると10年前の平成12年、世田谷文学館で「北杜夫展」が開催された。懐かしく鑑賞した。北杜夫は当時73歳であった。
このごろ、老い支度として蔵書の処分をしている。昨年3月、東日本大震災直後に北杜夫の本を処分した。年譜によると、蔵書の中で最新の本は多分、『木精』(昭和50年)か『どくとるマンボウ追想記』(昭和51年)ということになる。『楡家の人々』だけは処分に忍び難く残してしまった。それに北杜夫に触発されて。トーマス・マンの『魔の山』を読み始めたが、まだ読了していない。この本は当分、書棚に残ることになるだろう。
多くの方の追悼エッセイ集、北杜夫との対談集が採録されている。特に辻邦生、遠藤周作の名が懐かしい。【北杜夫コレクション】として今まで余り読む機会のなかった小品が採録されている。一部はどこかで読んだ記憶はあるが、殆どが初めてである。久し振りの北杜夫の文章が懐かしい。
北杜夫の娘さんの「由香」という名前はチバテツヤの『ユカとよぶ海』からとったそうだ(「愛すべき躁鬱病の叔父」齋藤章二)。昭和50年に子供が生まれたとき、北杜夫の名前が「トニオ・クレーゲル」に由来するように、なにか意味ある名前にしたいと思ったことを想い出す(結局、平凡な名前を選んだのだが)。
さようなら 我が青春の北杜夫 合掌!
どくとるマンボウ昆虫記 (新潮文庫)
35年前、中学一年生のときにうまれて初めて買った文庫本がこれだった。たしか200円だったかな。たいした期待せずに買ったのだが、夢中で読んだ。昆虫に関するエッセイはいろいろあったが、これほどマニアにも響く本はない。この本を読んで、それまでは蝶しか興味がなかったが、一気にさまざまな昆虫に関心が広がるとともに、小説を読むきっかけになった。それ以来、文庫で買える北杜夫の本は中学2年のころには読破して、それから様々な小説を読むようになった。いまだにトーマスマンを読むのも,この本を読んだ影響だろう。昆虫に関する記述は正確で、幼少時の思い出を語る叙情性はすばらしい。