ゴン (3) (ワイドKCモーニング (220))
日本のマンガが世界で読まれてるなどと言われて久しいが、でも実際にどれだけの人が、その国の映画や音楽を楽しむのと同じ様に楽しんでいるのか。ただマニアックな人が楽しんでるだけなんじゃないか。
なんて思ったりしても、私には確認の仕様がない。
でも、もし外国の人が、本当に、日本のマンガを、身近な娯楽として、楽しんでるとしたなら。そして、少しでも日本の楽しいマンガを探しているというならば、日本のマンガ好きとしてお薦めしたいのはこのマンガである。
この作品の特徴は絵が圧倒的にリアルである。と言う事。
そして、セリフが一言もないでストーリーが進んでいくと言う事。
主人公のゴン(表紙の恐竜の子供の様なキャラ)の鱗、木の葉っぱ一つ一つまでキッチリ描いてある。しかも、スクリーントーンも使わずに。
圧巻なのは崖の岩。あのリアルさはもうマンガのレベルをこえている。例えるなら、ハイビジョンで撮ったモノクロの無声映画の様に、質が高くリアルな作品だ。
とにかく、マンガ好きなら、一度、読んでほしい作品である。
原発を終わらせる (岩波新書)
原発に関する技術面、社会科学面などを網羅した好著。
放射線障害と予防、治療などに関する項目が欲しかった。広島、長崎、福竜丸、チェルノブイリなどを参考にしたものが出版されることを期待したい。
子供の将来に悩んでいる親にとっては最大の関心事でもある。
チェルノブイリ事故後の甲状腺がんは当時5歳以下の幼児の10年後の発病が多いようだが(菅谷昭、下記)、TV映像では圧倒的に思春期の女性患者が多い印象を受けるが、発病に性差はあるのだろうか?
この辺りを考慮した続編が欲しい。
たとえば、チェルノヒブイリ診療記の菅谷昭、原発事故を問うの七沢潔、チェルノブイリクライシスの奥原希行などの寄稿を望みたい。
東電の事故時の全データー公開は人類に対する贖罪である。それらのデーターを本書の技術面を担当した面々などが協力して解明し、報告されることを大いに期待する。
七沢氏の「原発事故を問う」によればチェルノブイリ原発責任者は刑事罰を受けている。東電事故は国際刑事罰ものである。
色々な意味で本書は原発事故に関するシリーズの第一巻と捉えるべきであり、今後更に充実させるのは岩波書店の義務でもある。
本書は勉強会資料としても有効だが、参考文献リストが無いのは残念。
GON ゴン SELECTION (KCデラックス)
ゴンの存在を知ったのは、ゴンが鉄拳3という格ゲーの家庭用にゲスト出演した時です。とっても可愛かったので、いつか漫画を読みたいなと思いながら、かれこれ10年以上が経過…。このセレクションが発売となり、ようやく初めて読むことに(遅)。緻密に書き込まれた生き物たちや風景。セリフがなくてもどんな場面か良くわかる。笑いあり、野生動物の世界の厳しさあり、友情あり。脱帽です。
ゴン (1) (ワイドKCモーニング (129))
あまりにも特殊なジャンルでなかなか知名度が低いのですがすばらしいマンガです。 このマンガをジャンル分けすること自体不可能なのではないかと思えるくらい類型のマンガはありません。
まずこの漫画の特徴は活字も書き文字もおよそ文字という物が殆ど存在しません。 表紙とタイトルと動物名の表記位にしか文字が存在しないので通算目にする文字数は3桁台なのではないでしょうか。 文字の量は重要ではないと思います無声映画がトーキーよりも説得力があったり
しますし、文字など無くてもゴンのうなりや水の流れや風の音は十分頭の中に再生されます。
そしてカラーでもモノクロでもデフォルメされて居るのに破綻が無くリアルな登場キャラクターたちです。主人公のゴン(恐竜のような不思議生物、強いて云えばワギャンに似ている)を始め一部のキャラクターはかなりデフォルメされているのにリアルな背景やとことんリアルなキャラクターと並んでいても違和感は有りません。
最後に妥協のない背景です。特に表紙の背景ははじめ手に取ったときは写真との合成と思っていましたがよく見ると筆跡があります。この情報量の異常さは魅力です。
結局自分にはゴンという種の生物なのかゴンという個体なのかも判りませんし、ゴンの生態すら判りません。内容的にはただ淡々と地球上の様々なポイントに出現してはその無敵さを発揮する様を描いています。絵からは情報がこんなにもあふれているのに謎だらけです。一つ判るのはこの作品がすばらしいという事だけです。
きっとこのレビューの文字の総数よりも記されている文字は少ないと思います。