イーハトーブ農学校の賢治先生 (ビッグコミックススペシャル)
この作品は
童話作家の宮沢賢治について描かれた、
魚戸おさむ先生の作品である。
手に取って読んでみると、
正直、「マンガを読んだと」言うより
小説や伝記を読んだ感触だ。
宮沢賢治・・・
知っているようでまるで知らない。
私は長らく小説家だと思っていた。
故郷の岩手県で4年4ヶ月の間、
農学校の教師をしていた事など
この本を読んではじめて知った。
話は農学校に赴任して来た時から始まる。
教諭として賢治は
真面目で温厚。
学生や農家の人々に
真摯に接してゆく様を
この本は丁寧に描いている。
宮沢賢治が教師をしている間に
妹のトシが逝去し、
後々の作品に影響を成した様や、
郷土を愛し農民や後進の為に
精を尽くす姿が描かれているのと同時に、
確固たる賢治の信念が
話が進むにつれて
力強く表現されている。
彼のように強く生きられるか、
自分を振り返ると
あまりにも違い過ぎて愕然となる。
読み終わった後に、
有名な宮沢賢治の詩が
どうして生まれたのかが
よく分かった。
よく分かって、
あらためて感動するに至る。
あらためて宮沢賢治の作品を
もういちどひも解いてみたい。
雨ニモマケズ
風ニモマケズ・・・・・
玄米せんせいの弁当箱 10 (ビッグ コミックス)
毎巻楽しみにしていた
[玄米せんせいの弁当箱]は
第10巻が最終巻となった。
1食目(第1話)「ありがとう」は
『弁当の日』を小学校でやってみようと
玄米先生と教員の先生方が考える。
小学校の先生の1人[宇部先生]は
弁当の日を面倒に思うのだが・・・。
この話で玄米先生が宇部先生に述べることは
自分には少々耳の痛い話であった。
料理を作ってくれた人に
感謝はあっただろうかと
問い掛けられるのだ。
私の母親や家人が読んだら
どう思うであろう。
最終話『食べることは生きること』は
前・中・後編の3部作だ。
玄米先生と師匠の茶花先生が
なにやら計画を立てている。
「また何かはじめたか」
と思う学長らだったが、
それはもっと壮大なものであった・・・。
最終回の中で、
これからの日本に対し提案がなされている。
「みんなで力を合わそう」という
作者・魚戸おさむ先生の力強いメッセージがある。
作中に登場する[理想郷]は
「本当だったら良いのに」と思うと同時に
今の私たちの食生活を鑑みると
やはり考えさせられる内容だ。
しかし、ついに終わってしまった。
漫画でもこういった良書は
なかなか出会えない。
ぜひ『特別読み切り』などで
「続・玄米せんせい」が読めますよう
ひたすら祈る次第である。
食卓の向こう側 コミック編〈1〉
まさしくこの本にあるような、若いから大丈夫、といったような食生活をおくっていました。朝食は抜いているし、コンビニ弁当も多いし・・・。食事というのは今、余りにも当たり前になっていて、食事に対してなまけっちゃているな、という気持ちになりました。世の中に当たり前のことなんかない。もっと食事に対して感謝の気持ちで接していきたいと思わせる、そんな本でした。
ひよっこ料理人 1 (ビッグ コミックス)
漫画ですから戦うヒーローに憧れるというのが今までの自分の選んできた
漫画に多かったのですが、こちらの作品は今まで手に取ってきた漫画のどれとも
違う内容でした。
暴力やHなシーンは皆無。料理漫画にありがちな「勝負」というものもありません。
この大変な時期に子供向けの料理教室を開くという、無謀とも思える主人公の
行動でしたが、ひとつひとつ着実に前に進んでいる姿に惹かれました。
漢字にふりがながふってあれば、低年齢のお子様にも読んでほしい作品です。
食育という意味でもいい内容をしていると思います。
たまたま立ち読みで手に取ったビッグコミックオリジナルで第1話を読み
単行本化されるのを楽しみにしていました。たまたまこのレビューを読んだ方にも
是非読んでもらえたらなぁと思います。
玄米せんせいの弁当箱 8 (ビッグコミックス)
魚戸先生の作品にハズレ無し!! 人間の交流と成長と良心を、まあこれほど見事にさわやかに描く作家はいるでしょうか。
店頭で表紙を見て、「絵のタッチがちょっと苦手だな…」と思って、読まず嫌いしている方もいるのでは?
たしかに昨今見られる若手作家のような、シャープで端麗なタッチではありません。
私も感動系は色々読ませていただきましたが、「読まないとソンする作品」と心の中に位置づけております。
失礼な言い方で申し訳ないのですが…絵や作風に、洗練された印象が無いのは、なにかを信じている「人間そのもの」を描いているからだと思います。
一巻から読み進めてもらうのがベストです。途中から読む派の方もぜひ。
なぜかというと、主人公のキャラというか…「人柄」がキーになった作品なので、人格形成のいきさつをうっかり先に読んじゃうと
せっかくの深くて濃厚な、後から来る味わいが満喫できないかも知れません。
「どっから読んでも影響無いです」って方は、3巻くらいからがおすすめでしょうか。
3巻だけでもいいから、主婦の方に読んで欲しいですね。とっても勉強になりますよ。
小学生くらいの子供にも読ませたいくらいです。いや、授業で使って欲しいくらい。
おそらくですが、魚戸先生&北原先生がこの作品中で、一番言いたかったテーマがいよいよ描かれ始めたな…、と私なりに感じたからです。
私は食品関係の仕事をしているので、常日頃消費者さんに対して「そこをもっとよくわかって、気をつけて選んで食べて欲しい」と思っていた、
非常に説明が難しい「食」を取り巻く社会問題を、ほんとうにわかりやすく描かれていることに、とても感謝しました。
人間って、元気って、自分らしさって、生きるって、生かされるって、生かすって、なんだろう…?
この問いかけに応える作品は数あれど、「食」から見つめる「生」をこれほどまでに描ききった作品は無いと思います。
幸いにも、私が子供を持つことがもしもできた時、さりげなく眼につくところにこの作品を置いて、読むチャンスを与えてあげたいな、と思っています。
そして私の作ったごはんを「うまあい!」と、主人公のようにおたけびながら、食べてもらえたらいいなあ!