マンガの方法論3 マンガのネタ 1 (コミック)
漫画家入門本ですが小手先の技術云々の本じゃあありません。
どんな人が漫画家になれるか、どう考えるべきか。
そんな心の持ちようをご自身の体験を交えて教えてくれている本です。
ぐっと来る言葉もありました。
ただ「まんがのねた」っていうショートの連作漫画はあんまり面白くないのでこの評価です。
ICHIGO二都物語 コミックセット [マーケットプレイスコミックセット]
大手建設業の長男として生を受け、長じて連続殺人魔となった主人公、梅川一期(いちご)の破滅的な一生を、奥行きのある心理描写と複雑な人間関係をまじえて描いています。
物語は終戦直後、昭和27年に始まります。
主人公一期は、土建屋の社長の跡取として祝福されて生まれるのですが、生後すぐに患った肺炎や、それに伴う大手術、そして養生の為に家族から離れて暮らすことになるなどの、さまざまな要因から、自身の生に大きな「欠落感」を抱くことになります。
一期の明るくやさしい幼年時代、友人の多い高校時代など、外面的には社会に順応しているように見える一方で、折にふれ首をもたげる疎外感が、迫力ある描写で描かれます。
自分を押しつぶそうとする世界への、対抗手段としての殺人という一期の内因的な問題は、生誕時から過程を見守ってきた読者に、説得力をもって語りかけてきます。
同時に、戦後の社会復興、父と子の対立、人間を取り巻く都市論など、実にさまざまなテーマが複雑に描かれ、それが主人公一期に収斂していく展開は見事としか言いようがありません。
昭和のめまぐるしく変わる時代情勢がリアルに描かれ、作者の昭和論ともなっていると思います。
人生への制御不能の恐怖に振り回された一期の、「憎しみで人を殺せたらどんなに楽だろう」「おれの人生はいったいなんやったんやろな」というつぶやきが、読後いつまでも胸にのこりました。