花よりも花の如く 6 (花とゆめCOMICS)
「仄暗き夢の底から」完結です。
西門さんとのエピソードは、連載前の一番最初の花×花から引いてきた(より正確には、「NATURAL」の設定から付いてきた)テーマだったのですが、今回で一区切りついた形となりました。
そして、それを受けるように、後半の「石に願いを」からは新しい展開となっています。
今までの花×花は、今まで知らなかった能の世界を憲人さんを通じて案内してもらう、という要素が強かったように思います。しかし今回は違うのです。憲人さんが能以外の世界に出て行くことによって、「三間四方の世界から外の世界を見る」という全く逆の視点が読者に与えられるのです。
万華鏡をのぞいていたら、いつの間にか万華鏡の中から外を眺めていたような不思議な感じです。
憲人さん視点で見る外の世界はものすごく新鮮で瑞々しい。
「外へ出て行く」印象の強い、成田先生らしいと感じさせる一冊でした。
花よりも花の如く 10 (花とゆめCOMICS)
我らが憲人の葉月との恋愛が徐々に進展して、喜ばしい限り。遅々としているけれど。どうなるか、やきもきさせて、引っ張るだけ引っ張るのかしらん。楽しみ。他の求婚者も現れて、恐らく迷う葉月が次号か。結婚への道は遠そうな予感。道成寺が先か、結婚が先か。多分道成寺かな。
能が若干霞んでしまい、恋愛漫画になってしまったので、☆4つにしました。
エイリアン通り(ストリート) (第1巻) (白泉社文庫)
80年代前半に大ヒットした名作。金髪の美少年、天才、大金持ちでビバリーヒルズの豪邸に住んでいる、など主人公の造型はいかにも古くさいし、作品全体に漂うアメリカに対する盲目的な憧憬も、何というか、時代を感じさせる。
が、そのような理由で本作を敬遠するのはあまりに勿体ない。この作品にはそれだけではない深みがあるからだ。他者に対する戸惑い、ぎこちなさ、孤独。それを自覚してなお他者と繋がろうとするいじらしさ。このような人物をここまで的確に、かつ魅力的に描ける漫画家は、成田美名子をおいてほかにない。何より、どの人物も品のよいところが素晴らしい。作品は、ひきこまれるストーリーとセンスの良いユーモアに包まれつつ、生きることの素晴らしさとかすかな悲しみをあぶり出していく。一人一人の心の中に深く入り込んで、微妙な心の襞を丁寧に描いていく。70年代から80年代初頭はテーマ性をたたえたマンガが次々と世に送り出された時代だが、その中でも本作は、人物の陰翳、ストーリーのオリジナリティ、絵柄の美しさ、過度に小難しくならないサービス精神、そしてバランスのよさで、群を抜く。
エイリアン通り(ストリート) (第4巻) (白泉社文庫)
シャール達の物語の完結巻です。
最終巻であるこの第四巻には、
エイリアン通り本編と特別編フィリシア、シャール通信が収録されています。
個性的なキャラクター達、魅力的なお話、美しい絵、
どれをとっても本当に名作です。
これで完結なのは寂しいですが、本編の終わり方は後腐れなく、
けれど彼らの未来を想像することができるような、とても素敵な終わり方でした。
花よりも花の如く 7 (花とゆめCOMICS)
憲人の出演するテレビドラマの収録が始まりました。
半分は出演作の劇中劇ならぬまるごと『石に願い』を編。
個人的には現実に近い早さで時間が流れていく速さで作品を待つシリーズで、人生を丁寧に生きたくなります。