イムリ 1巻 (BEAM COMIX)
「ぶっせん」の頃から、三宅乱丈の描く世界はほほ笑みと含羞に満ちています。
登場人物たちは、かすかに頬を染めて憧れと喜びを語り、
彼らのはじらいは、笑いの起爆剤となって紙面に炸裂していました。
その瞳が、裏切りと悲しみに見開かれたときの深い絶望、痛み。
異星を舞台にして繰り広げられる民族闘争を背景に、運命の少年が描かれる本作は、
まばゆいばかりの光、その恐ろしくも美しい輝きを鍵に、詩情あふれる作品世界を描き出しました。
作者の才能に深く感謝し、どんどんゆけるところまで描ききってほしいと願ってやみません。
もちろん手当たり次第に友人にすすめています。
イムリ 2巻 (BEAM COMIX)
さすが三宅乱丈です。何から何までオリジナルで世界観、価値観、描写、ストーリー…マイナーな作家で終わるのは本当にもったいない。とりあえず2巻読んで、やはり…と思いました。壮大な物語になりそうですが、きっと連載開始前から、終わりまで話は考えてる人だと思うので、収集がつかなくなることは無いと思うのですが…なんたってファンタジーサーガ…このジャンルの漫画は途中で折れるか、やけに長続きしちゃう傾向にあるんだよね…まぁ、裏を返せば、このままやりきればかなりの傑作になるのでは?ということ。さっき書いた通り、マイナーな作家では終わって欲しくないので、この作品で旗を挙げて欲しいと思います。
イムリ 9 (ビームコミックス)
孤独な旅を続けてカーマとの戦いを避けていた主人公の能力者デュルクは、ついにイムリのカーマへの反抗勢力「洞窟のイムリ」と「岩山のイムリ」の一族と出会います。イムリの伝承により、デュルクは否が応にも救世主として扱われ戸惑いますが…。
同様に権謀術数渦巻くカーマ陣営では策士デュガロ大師が最後までデュルクやミューバを擁護していた真の理由が判明致しますが、この一見温厚そうな老人の底知れぬ腹黒さに驚くと同時に、物語が次巻以降激しく動く予感がします。
さらに前巻で幼少時のデュルク、ミューバと同様に引き離されたイムリの双子姉妹、チムリとミムリの運命も大きく変わります。
カーマに拉致されたミムリの面倒を見るミューバが彼女と過去の自分の境遇に共通点を認めて感情移入をしつつも無意識に自分がされたのと同じ冷酷な道具としての扱いをする様子はミューバの複雑かつ屈折した性格を良く表しており、彼は今一番エキセントリックで怖い女装子でしょう。
双子のデュルクとミューバが環境と運命により表面の性格は大きく変わりながらも、三宅氏の描写力は両者の顔貌と才能、鋭い感受性に血縁を強く感じさせ、この作品の悲劇性を高めており、実に見事としか言い様がありません。
他のレビュアー諸氏がご指摘のガラナダ呪師の感情を隠した佇まいも、驚愕の最終頁も、実に今後が気に掛かります。
独特の用語や世界観に慣れると病み付きになる事請け合いの傑作大河SFファンタジー漫画です。お薦めです。
ぶっせん 上 (F×comics)
とにかく面白いです。
三宅乱丈さんの作品はデビューのころから読んでいますが、どの作品も他の人が思い付かない面白さに溢れています。
この作品も「ぶっせん」とは言っても仏教とはあんまり関係ないんですけどね(むしろ遠く離れているような気が)。
過去に出ていたものの新装版だそうですが、書き下ろしありだし、保存用に買っておこうかと…
ユリイカ2010年12月号 特集=荒川弘 『鋼の錬金術師』完結記念特集
まさか、鋼の錬金術師が、ユリイカの特集になるなんて。
思いもよりませんでした。
それが狙いなのかもしれません。
アニメでユリイカの特集にできるのは、
質だけではなく量も必要なのだということが分かりました。
解説できるだけの題材がないと、特集にならないので。
誰がファンなのかが分かっただけでも貴重な資料だと思います。