一鬼夜行 (ポプラ文庫ピュアフル)
最近妖怪ものの時代小説増えたなー、
と思っていたところだったので、
何冊かまとめて妖怪ものを買ってみたところ、
文庫版解説にまさにそのことが書いてあって、
そうそう、そうなんだよ! とひざを打ちながら解説を読みました。
気になる本作についてですが、いいですねー。
全体の構成もなかなかだし、
読後感のよいエンディングだし、
次回作も買おう、という気になりました。
才能を感じさせる新人、という印象です。
細かーいことを姑的に言っちゃうと、
導入部の弱さ、文体がまだちょっと硬いところとか、
舞台が文明開化直後である必然性の弱さ、
キャラクター造詣の弱さが気になりました。
や、登場人物はみんないいキャラで大好きなんですけど、
こまかいエピソードが薄くて、ちょっと感情移入しにくいというか。
や、ほんとに面白かったですよ。
その証拠に次回作は買いますし!
新人だけに、次回作に期待です!!
コンビニたそがれ堂 (ポプラ文庫ピュアフル)
著者は児童文学のヴェテランであるが,この短編集はむしろ大人向けのシュルレアリスム文学の,稀に見る成功例に数えることができる.たそがれ時に,どうしても必要のある場合に限り現れる 'たそがれ堂' . そこで格安で入手できるものは時空を超えて客が切望するもの,たとえば猫が人間になるキャンディーとか.夢中で読んだあと,感じるのは一種の多時間空間に今もいるような,不思議な感覚.これだけは読んでみるほかない.そうして後味は温かい.非常に完成度の高い文章.強く推薦.
よろず占い処 陰陽屋へようこそ (ポプラ文庫ピュアフル)
推理小説でもなく怪奇小説でもなく、ただ登場人物の個性だけでストーリーが進行している内容と言えなくもないが、
それだけでも十分に面白いから不思議な作品。
登場人物それぞれがいい加減に見えて、それなりに問題を抱えているキャラクター設定なところが実に面白い。
2作目を読むのが楽しみ。
コンビニたそがれ堂―奇跡の招待状 (ポプラ文庫ピュアフル)
もともと児童書として上梓されていた作品の第二巻。
文庫版書下ろし、四作所収の短編集。
風早という街を舞台とした一種の怪異譚で、
大人の場合、読んでいるとすぐにラストの落とし処まで読めてはしまうものの、
それ以上に無くしたものへの憧憬と、ヒューマニスティックな温かさが
作品の最初から最後まで溢れている点が評価できる佳作。
コンビニたそがれ堂 星に願いを (ポプラ文庫ピュアフル)
シリーズ第3弾ですが、この本が最初の1冊になります。
3人の登場人物はそれぞれに辛い、悲しい現実に出会います。
ほんの少し先の未来、遠い昔の過去、そして今。
けれども3人ともその現実に向き合い、そして前へと進みます。
登場人物の自然な心の動きが物語にしっかりとした土台となり、
不思議なコンビニたそがれ堂がほどよいスパイスとなっています。
ちょっと泣きそうになってしまう場面もありますが、
読み終わると心がほんわり暖かくなるような物語です。