盲獣 [DVD]
江戸川乱歩・猟奇系作品の映画化でも傑作の部類に入るカルト作です。
ウィリアム・ワイラー監督『コレクター』に後半リリアーナ・カヴァーニ監督『愛の嵐』を併せた様な作品になっていますが、本作には障害の有る息子の犯罪をサポートする恐ろしくも哀れな母親と、若い女性との相克も加わっており、よりインモラルな雰囲気が漂っております。
妄執の素材として誘拐されてきた女性と犯人の関係が芸術家とモデル、憎しみと愛情、苦痛と快感の間を幾度も反転・揺れ動く様子は非常にスリリングです。
生々しいようで増村作品独特のどこか超然としたモノローグ、主演三人、特に緑魔子氏の目を見張る美しさと船越英二氏の恐ろしい中にもユーモアが薫る演技が、この際どい作品をギリギリプログラム・ピクチャーとして楽しめる域に留めています。
終盤は異常行為が加速化した様に見せて、実は現実離れした猟奇的ファンタジーになって行きます。
映像化がそもそも無理な、触覚芸術に挑戦した点など、充分意欲的な作品ですが、後僅かのピースが加わればジャンルを超えたとてつもない傑作になったかもしれません。
犯人が触覚のみで創り上げたペンフィールドのホモンクルスの様な異形の造形物を見事実体化した間野重雄氏の美術、林光氏による前衛的でいながらモダンでキッチュな音楽も共に見事で非常に印象に残ります。
大いにお薦めです。
サイケな街
まずヴォーカルの枯葉マナコの適度にやさぐれ感のある歌声がいい。この手のガレージ歌謡バンドの中でも「裸足のブルース」のマナコの歌のフィーリングにはぐっときた。また選曲が渋い。牧陽子の「本牧ディスコティック」とか緑魔子の「やさしい日本人」とかデイヴ平尾の「ママリンゴの唄」とか、隠れ名曲の数々。演奏は決して上手いとは言えないが、バンマスがあの鳥井賀句なので、ギター・サウンドのそこかしこからストゥージズやテレヴィジョンやニール・ヤングっぽい音が立ち昇っている。山崎ハコの「気分を変えて」なんか、まるでライク・ア・ハリケーンかサイケ・ガレージ・ロックである。純粋歌謡曲ファンにはハードボイルドなアルバムかもしれないが、ロックやパンクやサイケやGSやガレージ・サウンドのファンなら、このアルバムを買って損はない。SHHENA&THE ROKKETSのシーナと鮎川誠氏が、推薦コメントというのもらしい。
アーリー・イヤーズ~シングル・コンピレーション+
緑魔子さんのイメージ通り、アンニュイでエロスな音楽。
昭和という時代性を感じ、非常に味わい深い。
各楽曲の完成度が非常に高いのが印象的であるとともに、
収録曲数・収録時間がほどよい。
なので、最初から最後まで疲れること無く聴くことができ、
緑魔子ワールドに身を委ねることができる。
一人でアンニュイな気分の夜に聴くと素晴らしい。
お酒と煙草があると、より深く味わえるかもしれない。