吉永小百合
主として、西條八十門下生の佐伯孝夫作詞、昭和23年シベリア抑留から生還した吉田正作曲の哀愁あふれる、名曲20曲厳選の吉永小百合さんベストアルバム。
伊達に「異国の丘」を戦地で歌っていたわけではない、故郷を思う人の生きようとする主意主体の意味が、足のつま先まで叩き込んできた暗黙知が吉田正を作曲に駆り立て、語るに語れぬ思いのかぎりを奏でる。
日活映画、吉永小百合主演「愛と死をみつめて」の主題歌「愛と死のテーマ」4分35秒収録。"二人ひとつの生命星(いのちぼし)"。台詞が入る。"ミコの分まで二倍も三倍も、さようなら、さようなら"。吉永小百合さんの思い入れも、ひときわ強く、聞く者に没入感を誘う。
青春の門 自立篇 [DVD]
1970年代の時代は「ゴッド・ファーザー」あたりを始まりとして、当時から20〜30年前の時代のことを描いたり、もしくはその時代に流行ったタイプの作品傾向を復活させる「ノスタルジー映画」が一気に開花しました。
映画作家自身がルーツを探る映画も増え、ポール・マザースキーが『グリニッチ・ビレッジの青春』を、フランスでもクロード・ルルーシュが『マイ・ラブ』などの秀作を撮り出していました。
そんな中で当時、邦画界から出てきたノスタルジー映画の筆頭格に挙げられる秀作がこのシリーズではなかったかと思います。
このシリーズ第2作目が公開された当時、小子は高校生でしたが、話題は何かと大竹しのぶさんの大胆な濡れ場シーンだったように記憶していますが、大竹さんの演技には今見ても泣かされてしまいます。
久しぶりに見て、本当にいい映画だと思います(特に、あまり評価されていませんが、真鍋理一郎さんの音楽が素晴しいです)。
天下御免〈1〉 (早坂暁コレクション)
中古での購入だったので、どんな具合かと気になったのですが、透明プラスティックの密閉包装で水にも対応されており、また、本の角なども傷まないようにしてあって、出てきた商品は美麗という感じでした。本屋さんの店頭のは、意外と皺がよっていたり痛んでいるのですが、そんなこともなかったです。内容は、無論◎でした。あの頃、NHKも勢い、あったんですよね。かなり斬新なストーリーで懐かしかった。でも、天下御免で現存するフィルムは、第一話と最終話の43分ほどです。残念ですが・・・。時計は逆には回らない。
花へんろ ~風の昭和日記~ 第1巻 [VHS]
脚本家・早坂暁氏の自伝的要素が濃い作品で、代表作の一つ。
大正末期以降の愛媛県を舞台に、遍路道に面した商店を舞台に、様々な人間模様が繰り広げられる。
主演の桃井かおりさん(早坂氏の母親がモデルと思われる)を含め、決して派手さのないキャスティングだが、それぞれがその演技力を十二分に発揮し、渥美清氏の語り(その死後は小沢昭一氏に交代)が独特の味わいを出している。
方言を交えた会話のスピードが全体にのんびりしているのも、時代と地域的特色を滲みだしている。
1985年から1988年にかけて、第一章から第三章(計19話)、さらに1997年に『新花へんろ』として6話が放映されている。内容としては、このシリーズの後が『ダウンタウンヒーローズ』となるのだろう。
戦争や原爆の投下も含め全体としては、人生の悲しさやつらさを描くエピソードが多いのだが、そんな中でも逞しく生きる市井の人々の姿が、そこはかとない明るさを醸し出している。
個人的には第一章の終わり、森本レオさん演じる幸三(桃井さんの義弟役)と永島瑛子さん演じる、おこうの駆け落ちと、第二章の前半の、二人の心中がとても切なく、印象に残っている。
なお、第一章では、お遍路の母子として樹木希林さんと内田也哉子さんが共演している。
ダウンタウンヒーローズ [DVD]
戦後の松山の旧制高校を舞台にした早坂暁原作の青春映画です。「夢千代日記」「花へんろ」などで知られる脚本家、早坂暁さんが旧制松山高校時代を振り返って書き下ろした自伝的小説を、同年代の山田洋次監督が映画的に脚色し、ドラマ化したものです。舞台は戦後すぐの昭和23年。四国の松山高校、通称松高。今で言う旧制高校なんですが、ここを舞台にした学生たちのお話です。黒帽黒学生服、下駄履きで髭ぼうぼうといった、そういういかにもバンカラ男くさい学生たち。物も食糧もない時代で、いつも空腹ではありますが、気持ちだけは真っ正直で、物事にどんと正面からぶつかっていくという、今の学生とは全く異なった雰囲気を持ってます。こんな時代に生まれて悩み苦しんで生きていくのもいいな、と思わせる作品でした。