ヴィム・ヴェンダース コレクション [DVD]
このBOXの編集意図はヴェンダーズの求める映画における「画=イメージ」の形、その希求の道程を示すことにあるのではないでしょうか?
例えば、『東京画』ですが・・・。小津安二郎が、不朽の名作「東京物語」(53)を生んでから30年後。彼を深く敬愛する映画作家ヴェンダースが、現代の東京を訪れる。小津映画ゆかりの2人の映画人との感動的な対話を通して、雑多で無秩序なイメージが氾濫する街にも、汲み尽されていない純粋な「画=イメージ」が、いまだ存在することを確信するに至る経緯が、旅日記風に描かれていくドキュメンタリー作品です。単なるオリエンタル趣味のお気楽外国人の珍道中記などではないことは明らかです。この映画でなされた哲学的思索が、次作「ベルリン・天使の詩」(87、カンヌ映画祭監督賞)で結実、それが珠玉の映像詩として世界中で絶賛されることとなると考えられます。
マイキー&ニッキー [DVD]
まず先に言っておきたい事は、物語やテーマを追って映画を観る人は退屈と思われるかもしれません。
これはジョン・カサヴェテスとピーター・フォークという二人の名優の芝居をとことん味わい尽くすための映画だからです。
たった一晩、二人は夜の街をただ走り回ります。逃げる為に、追う為に。しかし、組織のいざこざを越えて展開していく二人のじゃれ合いは何とも愛おしく、かつ切なくなってしまいます。
劇場公開で感じたあの「まるで刹那的な夢を見たような感覚」をいつでも体感出来ると思うと、今からウキウキです。
僕にとって「これ以上、何を望むのか、いや何もいらない映画」(勝手に定義)の頂点なのです。
アメリカの友人 デジタルニューマスター版 [DVD]
最高です。
全編、どこをきっても、鮮やかに人間が描かれています。
(主人公)「君にも、報酬を半分あげるよ」(心からの感謝のセリフ)
(友人)「君から貰うものは、何もない」「友情を貰うのは、無理だしな」
(主人公)「それを聞いて安心した」
これは、この二人の間に芽生えた、友情を描いたシーンですが、しびれます。
それから、あの美しいラスト前のシーン、あの異様な美しさは
長いトンネルを抜けた、爽快感、それと、ラストの悲劇によっても
際立てられ、確固たる、不変のものとなっています。
ベルリン・天使の詩 [DVD]
大学生の時にはまった映画です。今見ても、懐かしさと暖かさが同居する、不思議な映画です。
天使と共にモノクロで描かれ、少し寒さを感じるベルリンの風景。戦争の記憶....冷戦に引き裂かれた街。
ポツダム広場で手回しのオルゴールを回す老人。彼は何時になれば平和を謡うホメロスを見出せるのでしょうか。
そして、愛ゆえに人間になる事を選ぶ天使ダニエル。
ピーターフォークの渋い演技も光ってます。秋から冬の、ちょっと人恋しくなる切ない時期にオススメです。
時の翼にのって/ファラウェイ・ソー・クロース!<デラックス版> [DVD]
見終わった後、悲しい気持ちと、これで良かったのかも・・・という、不思議な気持ちになりました。前作といわれる「ベルリン天使の詩」とは一見対照的であるけれど、誰かを心から愛しく思う気持ちを表現している部分は同じだと思います。不完全ながらも、一生懸命に生きようとしている人間や天使が愛しく思えます。とても素敵な映画です。