虹のリズム/平吉毅州
昔から演奏されたりコンクールの課題曲に選ばれる曲も多数収録されています。1曲は、短いのですが、どの曲も大変素晴らしく何度聴いても不思議と新鮮さを感じます。リズムが変わっていて面白い曲もありお子様にもお勧めです。楽譜も出ているので合わせて購入を絶対お勧めですよ~
チベットわが祖国―ダライ・ラマ自叙伝 (中公文庫BIBLIO20世紀)
共産中国の侵略により、チベットに降りかかった過酷な運命、それに果敢に立ち向かったダライラマとその国民達。しかし、ダライラマの言葉には『敵』に対しての憎しみや恨みがみじんも感じられない。『この人の事をもっと知りたい。いま、チベットはどんな状況なのか?』私にそんな気持ちを抱かせてくれたのがこの本でした。
勘違い
「勘違い」、アルバム題として意表を突かれると共にその内容に興味がそそられる安藤裕子1年半振りの6作目を聴いた。
前作「JAPANESE POP」は従来のアクの強さが良い意味で薄れ、洗練されたアレンジで聴かせる秀作で、10年度ベスト作品リストに
挙げた程のお気に入りだった。この1年半社会的にも震災という大きな出来事があり、彼女自身も妊娠・出産という節目を経験した。
それらを経て彼女が示した音楽はどんなものだろう?
実は購入後前作のようにすとんと馴染んで来ない部分があり数日聴き返していた。本作は以前の彼女に特徴的だった音遊びが控え
め、歌われる言葉はよりシリアスさを増した。それはポップな曲が少なめで、バラードが半分強を占める重めの構成もあるだろう。
強烈な印象を残すのが冒頭2曲。タイトル・トラックは山本隆二が手がけ数小節毎に変化する風変わりな打ち込み音と安藤の鬱気味
な歌の溶け合いが美しく、途中からバンド・サウンドが混じり劇的な展開に。続く「エルロイ」、不気味なピアノフレーズと疾走するバン
ド上で安藤の早口舌まき気味の歌が暴走する。歌詞も「動くんじゃねえぞ」等男言葉を混ぜたりと若干分裂症気味な処が面白い。私
は繊細さと攻撃性を併せ持つ彼女のペルソナが反映された風変わりな歌詞に多分に惹かれるので、この尖った表情をもっと聴きたい。
中盤以降はバラード中心の構成で、管弦楽器等を織り交ぜた品のあるAOR風アレンジ上で安藤が以前より素直な歌唱を披露する
が、仕掛け一杯のサウンドを軽々と乗りこなす彼女を求める方には「普通のJ-POP」として聴こえてしまい刺激が足りないかも。またバ
ラードは歌が素で現れる為心を掴むメロディが不可欠だが、正直前作の名バラード「歩く」に匹敵するメロディが余り見当たらなかっ
たのが残念。本作が馴染みにくいのは、単純に楽曲の出来に物足りなさがあるからかもしれない。
バラード曲で最も好きなのは「地平線まで」。ホーンの渋い音色を敷きながら歌われる別れの物語は心の琴線を静かに刺激する。
また本作は楽曲が実に良い流れで配置される。刺々しい面を見せる初盤、沈んだ気持ちや葛藤を表現する中盤バラード群、そして最
後には外から光が射し込む。最後に置かれた佳曲「鬼」は本作では希少な直球のパワー・ソングであり、心の迷路を進んできた主人
公が漸く見出した出口にも感じられる、救いのある清々しい締め方だ。
楽曲自体の出来に若干ムラがあり手放しで絶賛できる作品ではないが、現在の彼女の心境が歪みなく刻まれた作品だと感じた。以前
の作品と比べ歌い方・サウンドの手触りが微妙に異なる為、心配な方は試聴してからの方が良いと思う。
神の棄てた裸体―イスラームの夜を歩く
「物乞う仏陀」でルポライターとして鮮烈なデビューを飾った石井光太の新作。
本書は、性に対して厳しいイスラム圏で、性がどのように扱われているかを、前作同様様々な国の底辺に行き、体当たり取材を敢行したもの。
・インドネシアの13歳の売春婦の話
・インドネシアでは、性器に焼けた石を突っ込まれてしまった東ティモール難民の乞食女の話
・パキスタンで男娼をしなければ生きていけない幼い兄弟の話
・ヨルダンの売春宿で売春をしているイラク難民の女性の話
・レバノンの金持ちの元で働くフィリピン人女性を相手にした占い師の話
・マレーシアに住むおかまのインドネシア人の話
・バングラデシュとミャンマーの国境近くで、子どもが金のためにさらわれる話
・イラン西部のクルド人の村で、戦争で足がな苦なってしまった女性を嫁にする一夫多妻の話
・ミャンマーに住む爺さんが語る、日本人兵に嫁が犯され、それがため嫁は姿を消し、残された子どもを育てている話
この本にはまだまだこういう話が載っている。
どこまでが本当でどこまでが作り話なのかと思ってしまうくらい、非現実的な、というか信じたくないようなリアルな現実が書き出されている。その圧倒される現実は、日本にいたら感じることができないものであるし、スーダンのダルフール紛争すらまともに取り上げることができないテレビや新聞などのマスメディアでは、石井光太が本書で書いているような内容はあまりに過激なため、取り上げることはないだろう。
著者石井光太は、一体いつまでこういうルポを書き続けることができるのだろうか。いつまでも書いて欲しいのだが、こういうルポを続けるとしたら、いつかどこかでのたれ死んでしまうのではないかと、いらぬ心配をしてしまう。