ふたりのロッテ (岩波少年文庫)
幼い頃両親が離婚し、お互いに双子の姉妹がいるとは知らずに育ったルイーゼとロッテ。ひょんなことから出会い、自分たちが姉妹だということに気づいた二人は、入れ替わってお互いの親のもとに「帰って」いきます。果たして両親は仲直りするのでしょうか。健気な二人の活躍にはわくわくしてしまいます。
ふたりのロッテ [DVD]
有名なケストナーの作品の再映画化と聞いて、期待して観たところ、期待以上のできだった。音楽家の父に引き取られたやんちゃなチャーリー(シャルロッテ)とキャリアウーマンの母に引き取られたおとなしいルイーズがサマースクールで偶然出会う。このサマースクールでの二人の交流が自然でいきいきしており、2人の少女の魅力が全開となる。
そして、入れ替わった2人が双方の親と暮し始めてからの親の方が娘に翻弄され、徐々に変ってくるところが自然に描かれている。特にサマースクールから帰ってからの生活では人によって涙するシーンが違うのではないだろうか。私の場合は、父親と娘が連弾するシーンで何故か涙が込み上げた。その他にもなかなか良いシーンが盛りだくさん。
音楽家の父親が離婚する前に作曲した曲はなんとも美しい調べで、幸せだった頃が浮かび上がる。そして、この曲が家族再生の要となるなど使い方も素晴らしい。
同じケストナーの作品の映画で「飛ぶ教室」では、やっぱり子供は男の子だよなと思ったが、この映画を観るとやっぱり子供は女の子と思ってしまった。
ふたりのロッテ [DVD]
これのアメリカ版THE PARENT TRAP(ウォルト・ディズニー)も比較したが、あくまで子供向け。こちらの方が感動が深いし、大人も楽しめる。更に、ドイツ語の勉強にもなる。絶対 お薦め。
Das Doppelte Lottchen
エーリヒ・ケストナー著「2人のロッテ」原書。入門書や絵本レベルを卒業し、手頃な副読本を探している1〜3年目のドイツ語学習者にお勧めの一冊。両親の離婚で赤ちゃんのとき引き離された双子の女の子が林間学校で偶然出会い、衝突し、双子と分かって仲良くなり、入れ替わり、そして・・と、小説作りのセオリー(起承転結)で展開する他愛ないストーリーなのだが、読み進むほどになぜかジーンとなって引き込まれてしまうのがケストナー。 DRESSLER社のハードカバーは、装幀、紙質、活字ポイント、挿絵すべてが良く調和し物理的に心地良く読める。ドイツ語学習者にとって幸いなことに、OETINGER社から原書のスクリプトを忠実に短縮編集したCDがある(47分)。欠点は余りにも抜粋し過ぎだが、絶妙の配役・迫真の朗読は、それを補って余りある。会話に使える表現多し:ISBN:3789101362。 ごく最近、edel Kids版で映画からの68分CDが出たのでとりよせてみた(9783898556293)が、残念ながら原書からは全く離れてしまってサブテキストには使えない(それ自体は悪くないが)。 なお、DERSSLER版で敷居の高い人にはKLETT社の簡約版も(挿絵は酷いが)意外と内容はまともなので先に買ってもいい:3126756808。 対訳には、岩波から邦訳あり。なお、邦訳を買うときは簡訳版でないか注意が要る。
ふたりのロッテ (ケストナー少年文学全集 (6))
ケストナー特有の健康的で瑞々しい感性が親しみが持てる。子供と同じ目線で書いているという気がする。教訓的なところは微塵もないのに、どこか学ばされるところもあるし。読んでいるうちに幼いころの自分に戻れる。