カリフォルニア・シャワー
本作の魅力は、なんといってもデイブ・グルーシンを筆頭にしたバックミュージシャンのパフォーマンスの素晴らしさにあります。彼等の力なくしてこのアルバムは成立しません。中でもプロデュースのグルーシンの貢献度は絶大。グルーシンのファンに強くお薦めします。
マイ・ディア・ライフ(K2HD/紙ジャケット仕様)
'70s末からの一大フュージョン・ムーブメントの火付け役であり、リーダー的位置にもいた渡辺貞夫氏(fl、ss、etc..)の'77年作品。
フュージョンというカテゴリが(後年になって)"技術至上主義"だとか"軟派/無刺激"といった悪しき誤解を受けるに至ったのは、それこ、そそれら言葉を甘んじて受け入れなければならないような二束三文的な音がムーブメントに便乗して氾濫したからなのかも知れません。
ですが、本質的にフュージョンの言葉が示すものは"融合"であり、演奏技術を必要以上にひけらかす事でも、表面的な気持ちのいい音を追求するだけのものでもなかったはずです。
本作は氏のフュージョン期の作品ですが、東洋的な響きに導かれて始まる[1]や、若き日の'70年モントルージャズフェスで演じたこともある[3]など、技巧がどうのこうのではなく、ジャズから更に踏み出した新しい音楽としての表現を求める氏のバイタリティーが溢れています。アフリカン/ブラジリアン・ミュージックやそのリズムへの傾倒もあった氏であるからこそのアイデンティティがそこに詰まっています。
当時、米での同ムーブメントを支えたリー・リトナー(g)、デイヴ・グルーシン(key、p)、ハービー・メイソン(ds)等など、渡辺氏のアイディアが本当にフュージョンした一作かと思います。
Young Gifted & Black
女王アレサ・フランクリンの'72年リリース作品です。A.フランクリンのベスト・パフォーマンスとなると、'70s初期作品を挙げる方が多いかと思いますが、<Amazing Grace>程にゴスペル色を前面に出すモノでもなく、<Aretha Live at Fillmore West>程の熱気ムンムンでもない、所謂、ちょいどいい湯加減のA.フランクリンの良さ(ソウル、R&B、ポップ)を味わうにはいい作品なのではないかと思います。
夜中に一人で聴くとイントロのピアノだけでも"ぐっ"ときてしまう[1](私だけか(^^;)、ファンキーに攻める[3]、アルバムタイトル曲であり、ジャズシンガーのニーナ・シモン作である[4](個人的に非常に好きです)等など、バランスとエンターテイメントを無理なく両立させていると思います。また、セールスに良好だっただけでなく、本作でグラミー・アワードとして"Best Female R&B Vocal Performance"も手中に収めています。
また、バックを務める面子も流石に凄い方々が揃っています。ドニー・ハザウェイ(org、el-p)、ビリー・プレストン(org)、コーネル・デュプリー(g)、エリック・ゲイル(b)、チャック・レイニー(b)、バーナード・バーディ(ds)、ヒュー・マクラッケン(g)等など。