7
dip in the poolというと、今のハウス・ミュージックのはしりという印象で、前作「静かの海」でややその傾向が強くなって、メロディーが希薄な無表情な音楽になり、つまらなくなったな(好みに合わなくなった)と思っていました。本作「7」はジャケットからそんなイメージを受け、食わず嫌いで未購入でしたが、次作の「Wonder8」を先日聞き返して、意外とメロディーがあることに気づき、やはりそろえて持っていなければ、と出品者の方から急遽購入しました。
何度か聞き返して、dip独特の浮遊感のあるメロディーがかなり戻ってきていることがわかりました。
しかし、やはり絶頂期は3作目の「Retinae」です。1、2作目はポップな曲調にまだかわいらしい甲田さんの声が絡んで、名曲「ミラクル・プレイ」が生まれましたが、そこに浮遊感が加わり、独特のアンビエントなdipのpopが完成したのが3作目でした。
本作「7」は今風の無表情な音楽と、3作目の浮遊感のあるメロディーが混在しています。つまんないなと油断していると、突如やわらかな絹の毛布に包まれる、そんなアルバムです。もはや新品を手に入れることはできず、マーケットでの出品から求めるしかありませんが、ファンの方は是非聞いておきたい1枚です。dip未経験の方、後半のメロディアスな曲だけでも聴く価値があると思いますよ。