モルヒネ (祥伝社文庫)
テーマは重いです。最初の数ページでいきなり家庭内暴力と姉の死に直面し
彼女の選んだ道は・・・という一貫したプロットで一気に読めます。
作者の筆致は透明感があります。淡々と日常生活を営みながら重要な局面
では自ら決断して動く主人公の姿は、今までの小説とは一味違います。
決断の理由も読んでる私には理解出来ず、決して魅力的とは言えない主人公
ですがそれだけに気がつくと隣にいるのかも知れないという錯覚に陥りました。
生身の人間の人生なんて、それほど考えて計算出来るわけでもありません。
他人から見るとほんの些細なコダワリを持って生きてるだけでしょう。そんな
ひとつの人生が紡がれています。