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逆ろうて候 (講談社文庫)
逆ろうて候 (講談社文庫)
美濃の斎藤家で奉行を務めた日根野弘就の、織田信長との戦いからの後半生を題材とした作品です。
かつての同僚が織田家に膝を屈する中で、幾度かの浪人を経ながら戦い続けた苦難の人生を描いています。

日根野弘就と言えば斎藤義龍、龍興に仕えた武将で、一般的には佞臣として描かれるケースが多いのが特徴です。
これは竹中半兵衛が斎藤龍興に軽視されて斎藤家を退去した経緯に、龍興の寵臣として登場することが多いからだと思われます。
そういう意味からしても、一般的にはマイナーである日根野弘就を主人公に据えたことは快挙と言ってもよく、拍手をしたい思いでいっぱいです。

物語は織田家との戦いによる斎藤家の没落、浪人して浅井家や一向一揆衆に身を任せながらも織田家に対抗し続けた弘就の反抗心を中心に据えており、とにかく織田信長と相容れない弘就の苦闘が見事に描かれています。
それだけに織田家に膝を屈してから晩年までがあっさりとし過ぎていて、ここを織田信長への反発と現実の生活との狭間に苦しむ姿を描けば、もっとよい作品に仕上がったのではないかと思います。







たいがいにせえ
たいがいにせえ
■岩井三四二のコクのある時代小説7編を堪能した。

■「祗園祭に連れてって」は、応仁の乱の後33年間途絶えていた祗園御霊会(ぎおんごりょうえ)の山鉾巡行(やまぼこじゅんこう)を復活させるよう上層部から命じられた小役人・三左衛門の右往左往ぶりを描く。かなり昔に中断した祭なので皆記憶が不確かになっている。そして各町の結束や資金力がまちまちで、それぞれ難題を抱えている。おまけに比叡山延暦寺が妨害めいた圧力をかけてきた。近年の幕府とのいざこざが背景にあるのだ。果たしてこんな状況で無事に祭は復活できるのか――。現代の中間管理職の板ばさみの構図にも通じるものがあり、読者はほろ苦い共感を覚えること必至。

■「迷惑太閤記」は、年老いた加賀藩士・笠間儀兵衛が娘の見合い相手の青年を試すため、木刀で試合をする話。既に時代は戦乱の世ではなくなっているので、実際の合戦を生き抜いてきた儀兵衛にとって若い武士は皆腑抜けに見えて、苦々しい気持ちなのだ。そんな折、版本「太閤記」が評判になっていると聞き、自分が登場して活躍する情景がきっと描かれているはずだと期待して読んだ。がそこに書かれていたことは彼を激怒させる内容だったーー。

■その他の5編も味わい深く、読了後の充実度抜群。瀬戸内の海賊が登場する話がいくつかあって、興味をそそられた。





難儀でござる
難儀でござる
この人の本は今回初めて読んだのだが、至極読みやすくて好感をもった。本書には八編の短編がおさめられている。扱われている時代は戦国時代だ。この混乱を極めた時代にあって難問に直面する人々が描かれる。戦国の世とはいえ、難局に対する人間の反応というものは今も昔も変わらない。億劫なものは億劫だし怖いものは怖い。あくまでも人間としての素の反応を描こうとした作者の姿勢に大変好感をもった。小品ながら、本書は共感とユーモアをもって忘れがたい印象を与えてくれる。
中でも良かったのが「しょんべん小僧竹千代」だ。これは幼き家康の人質時代に起こった秀逸なネゴシエイト劇を描いていて読ませる。物語の結末は予想できても、その過程に醍醐味がある。なかなか印象深い作品だ。「信長を口説く七つの方法」は先帝の十三回忌を前に先立つもののない禁裏が、いまをときめく覇王信長に二百貫文出させようとする話だ。ユーモアに包まれた楽しい一編だった。その他の作品においてもそれぞれ歴史の表舞台には出てこないが興味深い出来事が描かれていて、楽しめた。








もしもこんな 岩井三四二 がいたら・・・


最近ネット上でも話題の 岩井三四二。この日のイベントは「人が来るか不安だったけど、皆さん集まってくれてうれしい」とファンに感謝。
特にお気に入りなのは寝起きのシーン。「ピンクの水着で、雰囲気が可愛いんです」とPRした。

こりゃあようするに一言で言うとあれだ

『 あなたがたのなかにはいつでも貧しい者がいるだろう。というのは、いつでも富める者がいるからなのだ。富める者、すなわち、所有よりも権力のほうを求める貪欲で冷酷な者が。 』( ペルナノス )

っちゅうことですねー確かに。

オール読物 2008年10月号 9/22発売
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『南大門の墨壺』/岩井三四二著
南大門の墨壺. 著者名:岩井三四二(著) 出版社:講談社出版年:2007.10 ISBN :9784062143455. 夜叉さん.jpg 道念さん.jpg 源平の合戦で焼失した東大寺大仏殿。 先祖代々の東大寺番匠である夜叉太郎(やしゃたろう)は、大勧進・重源(ちょうげん)上人 ...

たいがいにせえ/岩井 三四二 (著) 単行本
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室町末期の、貧乏公家の山科言継と家来の大沢掃部助が悩める男たちのために大活躍!?あちこちの揉め事に首を突っ込むが、事態はますますややこしいこと...

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船越英二 | ドカチン