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George Szell Bell Telephone Hour: George Szell and the Cleveland Orchestra- The Cleveland Orchestra: One Man's Triumph [VHS] [Import]

 嘗てのヨーロッパにはユダヤ型、ハンガリー型に普仏英伊と各タイプの音楽家がいたが(血統や国籍ではなくスタイルの話)、セルというのはその中の一タイプ、19世紀末ウィーン宮廷で理想とされた音楽の究極形を体現していると思う(と、誰かも書いていたかもしれない)。ついでだが、このスタイルにユダヤとハンガリー風味をブレンドして庶民的に熟成させたのが所謂ウィーン風、現在ニュー・イヤー・コンサートのシュトラウスなどに聴くウィーン・フィルの演奏ということになろう。

 …というのはまあ、単に素人の勝手な思い込みに過ぎないのだが、そのセルが手兵クリーヴランド管にリハーサルをつける姿を追ったTV番組"The Bell Telephone Hour"の映像である。一部は『アート・オブ・コンダクティング -今世紀の偉大な名指揮者たち- 』でも観ることが出来たもの。曲目は『大学祝典序曲』にベルクのヴァイオリン協奏曲(独奏はコンマスのドゥルイアン)、『運命』。うち『運命』のフィナーレのみ本番の模様も。収録は1966年らしい。

 まず、楽団の拍手に迎えられてセルが黒いセーター姿(CDのジャケット写真などでお馴染み)でステージに登場。「また戻って来られて嬉しい。新しく入団した諸君はよろしく。まあ、無駄なおしゃべりはやめて音楽をやろう。久々に諸君のサウンドを楽しみたいから」などとキビキビしてソツのない挨拶。続いてブラームス。細かいけれど熱心に、また実に楽しそうにリハをつける様が何と言うか、素晴らしい。人柄について色々言われることもあったらしいが、やっぱり音楽が好きなんだなあというのが伝わってくる。最初から最後までダラダラ浚わせるのではない、ツボを押さえたプロの進め方もさすが(こうまでスムーズに運ぶのも常任ならではなのだろうけれど)。「締めのコードに入る時は弓をパッと上げたところで一瞬ポーズを。お客に終わりだと分かるように、ね?」と意外なサービス・マンの素顔、「ブラインド・マン…いや、ブラインド・パーソン」という気配りもおかしい。

 ベルクでは、オケとの他にドゥルイアンとサシでのピアノ・リハも。セル自身の達者なピアノは聴きもの(ドゥルイアンとはモーツァルトのソナタ/dp/B00005G7R4/ref=cm_cr_asin_lnk?ie=UTF8">モーツァルトのソナタを録音している)。ドゥルイアンが何やら意見すると「いやいや!キミの言うことはよく分かるが…」とひとしきり議論。当たりはいいけど頑固そう。グレン・グールドとのトラブル、フリードリッヒ・グルダの「怒りっぽくて無愛想。全面的な服従を要求し、実際に服従させる人」とのコメントを思い出す。『ドクター・サイクロップス』(1940年のアメリカ映画で、サイクロップスとはビン底眼鏡で禿げ頭で慇懃無礼な、つまりセルそっくりのマッド・サイエンティストの名前。人間を小型化する実験を行う。モデルは東条英機とか)と綽名される所以か。
  
 ジャーナリスト(?)とのインタビュー、学生たち(中にはまだ頭を七三分けにしたジェイムズ・レヴァインの姿も)相手に『ティル・オイレンシュピーゲル』などを教材にして指揮のレッスンと続き、『運命』の白熱的なリハと本番(『シカゴ交響楽団と歴史的巨匠たち-2 セル』にあった効果的なスコア改変は聴けず)で終わる、下手なライヴよりも音楽に満ち満ちた(ちょっとヤラせっぽいところもあるが)55分間。あまり好きではなかった『祝典序曲』を見直し、食傷気味の『運命』の迫力を再確認出来た。当然ながら、既にDVD化もされている。
 
 最初のウィーンに話を戻すと、セルがウィーン・フィルを指揮しグルダとも共演の『ウィーン・フィルと名指揮者達 ジョージ・セル編』も観応えがある。セル+ウィーン・フィル+ブルックナーとは(異論はあろうが)個人的には最高の組合わせ。ザルツブルクでの7番のライヴもよかった。スタジオ録音がないのが惜しまれる。 Bell Telephone Hour: George Szell and the Cleveland Orchestra- The Cleveland Orchestra: One Man's Triumph [VHS] [Import] 関連情報

George Szell George Szell - Eleganz und Finesse

名人セルの、主に1950年代の録音を集めた独メムブランによる10枚組の廉価版セットで、ロイヤル・コンセルトヘボウやクリーブランド、ロンドンフィルなどを振ったドボルザーク、モザール、シューマン、ベートーヴェン、ハイドン、シューベルト、メンデルスゾーンなどの演奏が聴ける。

いずれからも彼独特の精巧で折り目正しい音楽が聴こえてくるが、その大半がライヴなので、スタジオ録音とは違ったその折々の感興がこぼれてくるのが好ましい。

シューマン、ハイドンも良いが、私はロベール・カサドシュを独奏者に迎えたモザールのピアノ協奏曲の24番と26番を楽しんでききました。

ジョージ・セルより秘法を伝授されしジェームズ・レヴァイン巧みにヴェルディのアリア歌わす 蝶人 George Szell - Eleganz und Finesse 関連情報

George Szell George Szell Conducts Beethoven Symphonies & Overtures (Sony Classical Masters)

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