春から夏、やがて冬 (文春文庫)
「葉桜の季節に君を想うということ」から歌野小説を読み始め、発表作を一通り読んでからの今作。”「葉桜の季節に〜」を超える衝撃!”という帯でしたがはっきりいってしまうとそこまでの衝撃はありませんでした。もちろん叙述トリックのものとそうでないものを比べることは間違っているのですが、良い意味でも悪い意味でも、「あの衝撃をもう一度味わいたい」という方は肩すかしを食らってしまうでしょう。不可解な事件が起こる訳でも、難解なトリックが出てくる訳でもありません。この作品はある無念を抱えた男がある女性に救われるストーリーです。救われ方はそれぞれ、そしてそこに至るには季節とともに変化していく心情の変化があった。どんでん返し、ではありませんが切ない衝撃が情景とともに心に残る、良い小説だと思います。推理小説というミステリーではなく、一般小説に近いミステリーとして読んで見てください。読んだ後には、「きっとあの人は〜」と思いに耽ってしまうと思います。
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スマホ 防水 ケース 2way アームバンド + ネックストラップ 付属 4.7インチクラスまで収納可 【8色から選べます。】
まだ、それほど受かっていませんが、防水機能も良く、普通に使えています。
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告訴せず [DVD]
1975年東宝映画、カラー&ワイド・スクリーン、松本清張原作映画としてはもっとも地味なひとつかもしれないが、清張原作映画ファンは見逃したままではぜったいに損です、原作自体にご都合主義が強い「眼の壁」より遥かによくできたミステリー作品で、私的な好みでランク付けすれば清張映画の上位になります、本作よりも面白く良くできたものは「砂の器」などの野村監督作品やおなじ堀川監督の「黒い画集」など10作品ほどになると思う、堀川監督は助監督の最後の仕事が「七人の侍」だったという東宝の職人監督、昭和30年代のまだ映画界好況期のプログラム・ピクチャー監督として大活躍した人、DVD発売済の「軍閥」「黒い画集」、当時の大ヒット「裸の大将」などが代表作、脚本をよく刈り込んでスピード感のある作風がおそらく会社側からも信頼されていたと推測できます、インタビューの中で本作が90分しかないのにこれでも長いといっているのが印象的です、劇は青島主演らしいコミカルさを交えたミステリー、鑑賞後の印象は清張作品らしい苦さのあるいい余韻が味わえます、なにせ90分しかない映画です、現在のように子供向けの娯楽作品でも平気で2時間オーバーの映画を見慣れたわれわれの間隔からすればあれよあれよとクライマックスを迎えるじつにハイスピード作品(現在のように短いカットが続くという意味ではない)、 それがロケ好きの監督によってワイド画面のきれいなカラーワイド画像として撮影されており映画を見たという満足に繋がっています、この年、青島幸男43歳、江波杏子33歳、インタビューで本作がまず青島で一本作るというところから始まったと語られていることから当時の青島幸男がそれなりの人気者だったことがわかります、劇中、江波は大胆に脱ぎ濡れ場を披露しているのだが、現在の同世代の女優とは迫力が違うフェロモンを発散していることに驚きます、清張映画らしくここでもカメラは日本全国の観光地を映し出す、 選挙カーの走る岡山市、この年博多まで開通した山陽新幹線、 2年後に立替のはじまる旧警視庁赤レンガ庁舎、羽田を離陸するB727、天本英世が太占をする神社はたぶん貫前神社、穀物相場の取引所、など75年頃の各地の風景も見所です、 なかでも大臣役の小沢栄太郎の事務所から眺める国会議事堂は素晴らしい、堀川監督は好々爺然とした風貌ながら「黒い画集」のラスト・シーンを警視庁屋上から撮影したというなかなかの猛者なのです、
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Music Videos 2 & 3 [DVD] [Import]
ミレーヌ・ファルメールのビデオクリップ集DVD彼女が拠活動の点をアメリカに移してからPVを集めたもので映像的にも、アメリカ映画を思わせるカット割りの多いものとなっていて、一見ヨーロッパ的静寂と暗黒度は薄れたように思えるものの、センスの良いメジャーな作りの中にも、彼女の持つアートな感性は所々に垣間見えて、やはり素晴らしいといわざるを得ない。フランス語による情感たっぷりの歌唱は映像と結びつき、見るものを釘付けにせずにはおかない。まるで香港ファンタジー映画のような中国美女に扮したミレーヌ、絶望にのたうち血の海に浸るミレーヌ娼婦とファーストレディの二役を同時に演じるミレーヌ、サーカスで玉乗りをするミレーヌ、こと映像という視点からすると、ここまでの場所に到達している歌手がこの世界にどれほどいるだろうか。彼女の表現するものは、愛と憎しみと悲しみ、光と闇、時の流れ、血と涙、美と醜、生と死、でありそれはつまりはこの世界のすべてである。ボーナス映像での、何十万人だか見等もつかない大観衆の前で歌う彼女の姿は、まるで女神のように輝いて見える。陶酔に満ちた人々の顔を見れば明らかだ。この一人の歌手のために命をかける人間が、たとえ何百万人いても、私は驚かない。これも必見のDVD。
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このマンガがすごい!Comics 特攻―太平洋戦争、最後の戦い (Konomanga ga Sugoi!COMICS)
本書の出版元である宝島社といえば、昔はちゃんとした本を出していたそうですが、少なくとも自分のイメージでは、「中途半端」「ワケがわからん」「売らんかな」しかないのですが、今回はそれがなかったので安堵していたら、それも当然、ひと様のマンガを掲載しているだけなので、なんのこっちゃ。 (゚∀゚ )本書は、松本零士先生をはじめ7人のマンガと、合間合間に入る「実録〇〇」を読んでいく形式になっています。マンガについては後述するとして、最も興味深かったのは、なんといっても「松本零士スペシャルインタビュー」でした。「米兵のキャンディを踏みつぶした幼少期」をはじめ、松本先生の少年時代の話には強く頷かせるものがありましたが、終盤になると突然、「先日、金星探査艇の写真をもらいました。それには、絶滅した知的生命体の痕跡や都市構造の遺跡としか見えないものがたくさん写っています」と、話はあらぬ方向へ。松本先生は「地球が第二の金星になる可能性は、そう遠い未来ではない」と、警鐘を鳴らして我々に熱く語りかけます。・・・えーと先生、一応これ、大東亜戦争の本なんです。特攻の本なんですけど。 (*≧∀≦*)以下に目次を列記しつつ、一部に感想を少し。購入の参考になれば。 松本零士 「音速雷撃隊」 松本零士スペシャルインタビュー 実録 特攻擊機「桜花」 本宮ひろ志 「島崎二飛曹失速す!」読み切りなのか、連載ものの一部抜粋なのかわかりませんが、あまりにも可哀想すぎる作品でした。おそらく本書に掲載された作品の中で、最もワケのわからん作品。 実録 日本最強戦闘機「零戦」 滝沢聖峰 「海の陸鷲」この作品は、滝沢氏の作品を集めた「ゼロの世紀(朝日新聞出版 (゚∀゚ ) )」にも収録されています。 実録 海軍期待の陸軍重爆「飛龍」 松田大秀 「ワシントン攻撃命令」個人的には本書の中では一番面白かった作品で、これだけなら☆5つあげたかった。松田氏の作品では、「雷撃一代」が図抜けて面白かったので、是非とも続編を読みたいです。 実録 幻の長距離爆撃機「富嶽」とキ91 やいた克政 「芥の散華」 実録 戦艦「大和」沖縄に散る もりやてつみ 「高高度の勇者」 実録 体当たり迎撃部隊「震天制空隊」 薮口黒子 「月光一閃」海軍夜間戦闘機「月光」とB29の戦いを描いた作品。個人的には二番目に面白かった。 実録 本土防空戦と夜間戦闘機・・・以上です。収録されているマンガの殆どは、「苦しい戦い→そして特攻(或いはそれに似た作戦)→失敗→戦争って悲惨だよネ」という内容ばかりです。マンガ自体は面白いのに、最後のコマの説明文に「戦争中という狂気の時代では」や「しかし東京は焼き尽くされてしまった」などと、どっちが悪者か判然としない「とりあえず戦争の悲惨さは、最後にそっと書いときました」的なマンガが多かったです(「芥の散華」「高高度の勇者」「月光一閃」)。米軍に一矢報いて、尚且つ清涼感溢れる見事なラストを描いたのは、松田大秀の「ワシントン攻撃命令」だけでした。これは松本先生のマンガも同じで、ほぼ同日に発売された「ザ・コクピット日本編成層圏戦闘機」の方が遥かに優れていて(本書に収録されている「音速雷撃隊」も収録されています。ただし、こちらは370円+税の廉価本)、とくに「パイロットハンター」と「グリーン・スナイパー」は必見です。そう言えば、意外にもそちらに書かれている松本先生の「あとがき」は、ものすっごくマジメです。クスリとも笑えませんが、松本先生の漫画家としての覚悟は伝わってきて、本書のインタビューよりも数段優れています。20年近く前の「あとがき」の再録ですが。 とは言え本書は、先述した松田氏をはじめ、いくつかの作品が面白かったのと、廉価本と見せかけてカバー付きの単行本だったというちょっとした驚きもあったので、☆4個にしておきます。まぁ、普通なら☆3個ぐらいの本かと。マンガに罪はありませんが。ただし、松本先生のアレな話だけは別格です。いつか、安くなったら買ってもいいくらいにはオススメできます。 ('∀`*)このレビューが参考になれば幸いです。 (*^ω^*)
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