最初の曲の最初の音を聴いただけで、ただごとではないものに接しているという緊張感を覚える。ストルツマンのクラリネットの音は、内省的で、聖書の詩篇の一節にでも耳を傾けているような気になる。選曲は、モーツァルトの晩年の傑作「クラリネット協奏曲の第2楽章」もあれば、映画音楽もあるし、ポピュラーソングもある。バックのアレンジは原曲に忠実だけど、どれを聴いても心に響いてくる彼の音色に包み込まれる。『古楽の旗手たち』という本に彼のインタビューが掲載されている。「私は小さい時から、クラリネットらしい音というものが好きではありませんでした。 様々な人の、歌手の、人間の声が好きだったのです。 クラリネットで素晴らしいのは、音が空気の中から出てくることです。 コンサートで演奏する時、どんな弱音でも、ホールの最後尾に座っている人に きちんと届くようにコントロールしています」彼の演奏が、独特の楽器のくわえ方、呼吸の仕方に支えられていること等が、具体的に話されている。 ヴィジョンズ 関連情報
クラリネット奏者として、確固たる地位を築いている『リチャード・ストルツマン』の個性がふんだんに詰まった一枚。 口語にできない位すごいので、一回聞いて欲しいです。 ラメント 関連情報
クラリネットとストルツマンをこよなく愛する人ならば必ず持っておきたい1枚ですね。コープランドのコンチェルトをここまで分析してそれを演奏できるのはストルツマンだけでしょう。買って損はしないと思いますよ。 クラリネット協奏曲 [DVD] 関連情報