この本の副題、「膨張する中国に直面する日本」に惹かれてこの本を本屋で買った。内容はまさにその副題に関するもので、現状の海防について北朝鮮の侵入や、中国による海上の軍備拡張についての現状を述べ、我々に警告を与えている。この種の内容にありがちな、絶叫型の右に偏った記述でない、という事も静かに事態を読み取る事が出来てよかったと思う。
特に印象的だったのは、海上保安庁と海上自衛隊との役割についての言及で、海上保安庁の予算を海洋国家日本としてはもっと伸ばすべき、という論調である。これには共感を覚えた。それに関連して、中国の海防に関する組織の変更を述べた、「四龍を統合する」には危機感を覚えた。即ち、中国の海防を司る四つの組織が一つに統合されてより強力に海域を管理できるようになったという事である。
興味深かったのは、著者が尖閣諸島の国有化について東京都の対応を批判していることである。それは一言でいうと、領土問題を国ではなく東京都に委ねてしまった事は間違いだ、というものである。そういう著者の考えと同じく思う人も居るのかもしれないということに、著者の考えとは違う意見を持つ私としては思考の訓練となって刺激となった。
平成海防論 膨張する中国に直面する日本 関連情報
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