Denim (通常盤)
どう表現すればいいかわからない「想い」が湧き起こってくる。
人生はデニムのようだ……つまり新しい(若い)ときもいいが、
歳を重ねるとそれなりに味わいが出てくる。
その年齢にはその年齢のすばらしさがある。
彼女はそう言いたかったのだろう。
そしてその集大成的な曲が「人生の扉」だと想う。
五十路になった竹内まりやが、20代も、30代も、40代も楽しく愛に満ちていたけれど
50代はもっと素敵だと思う――と歌う。
そして年齢を重ねていくことの重みを自覚しつつ、
90になっても生きているよ、きっと……と歌う。
老いていくことは大変なことだけど、
人生にはそれでもきちんと「意味」があるのだから……と。
アルバムの最後に収められた「人生の扉」を聴き、
もう一度最初から12曲を聴いてみると、「その年代」だからこその
愛のかたち、人生のかたちが、竹内まりやの言葉で綴られている。
しかし説教がましい歌詞はひとつもない。
自然体なのだ。だから何度聴いても、一日中繰り返していても
飽きることがない。
私は彼女とほぼ同世代。自分の人生と重ね合わせながら
時には不覚にも涙を流し、時にはほほえみ、
ほとんど毎日のようにこのアルバムを聴いている。飽きることはない。
Piccadilly Circus(紙ジャケット仕様)
竹内まりやがカバーした「Never cry Butterfly」を聴いてなんていい曲だと思ったが、ラジオ番組で原曲のピカデリーサーカスの歌を聴いて、「くぅう〜っまりや版より断然いい!」…と思ったのでCDを探しましたが廃盤だったせいで手に入りませんでした。それが紙ジャケで発売されるなんて素晴らしい!今度は買い損ねないよう早めに予約します。
Summer of Love(紙ジャケット仕様)
杉真理デビュー30周年の第1弾としてリイシューされたPicadilly Circusのセカンド。タイトルは、ビートルズが「サージェント・ペパーズ〜」、ストーンズが「サタニック・マジェスティーズ」、ビーチボーイズが「ペット・サウンズ」を発売し、「音楽が魔法にかかった」1967〜68年頃のことを指す。そして、そのタイトルに違わず、このアルバムは、正に「音の魔術師団」によるあふれ出る極上のポップミュージックだ。
しかし、決してノスタルジーに終わっているわけではない。6人のポップ・マエストロが「熱い夏」を自分の中で昇華させて、今を生きる音楽として再構築させている。曲調も前作にも増してバラエティに富んでおり、初版時には「僕がシチューを作る理由」が岡江久美子さんが出演したシチューのCMソングになっている。そのほか、ストレートなミリタリー&アシッドロック、ロカビリー、ディスコ風と飽きさせない内容だ。もちろん、バラバラな印象はなく、一つの統一感=「Summer Of Love」の下に、各曲が自由闊達に動いているといった感じだ。
メンバーそれぞれが忙しいスーパーグループだけになかなか難しいだろうが、そろそろサードアルバムを期待したい。今年、久しぶりのライブが行われただけになおさらだろう。日本でこれだけ高いレベルの音楽を作っている集団は稀なのだから、明日のJ−POPの指針となるであろう新作を望んでやまない。