半島を出よ〈上〉 (幻冬舎文庫)
実はまだ上巻を読んだところです。
でも、まずここまでのところでも感想を書いておかないと。
経済、政治様々な分野で疲弊してしまった近未来(と言っても時代的にはもう今になっているが)の、仮想日本国はが舞台です。
何もこういうだらしない、国際的に孤立してしまった仮想の我が国ではなくとも、十分に私達はこの国の政治を筆頭とする、社会の仕組みにいい加減うんざりしているのではないだろうか。
その、うんざりかげんが特級に進んでしまった、その日本に、対局ともいえる北朝鮮と言う国の、徹底的に訓練を受け、また彼らの思いの中で大きな希望を持っている兵士達が、この国(福岡)に侵略し、これを統治してしまう。
国の実務的に機能しないシステムを突いて、あっと言ううちに、ごく少数の兵士達に、ものの見事に侵略される。
この為す術もない状況。そして、そうだろうなぁ、と実感できる自分。
いやぁ、怖い。実に怖い。いつあってもおかしくないと思える現実があります。
いったいこの状況はどうなって行くのか。この打開の鍵が、どうやら世の中のはみ出者の若者たち。
国民皆番号制からもはじかれてしまった(「正常」な世の中からは)どうしようもないと思われた若者たち。
ここにキーがあるらしい予感を抱かせつつ、後半に入っていった。
ううう、これは読まずにはおれない。
でも、怖い。ほんと怖いなぁ、これは。
どこか、「希望の国のエクソダス」にも通じる、自分の立つこの国と言うものの危うさを感じる怖い小説です。