Codes & Keys
アメリカンロックの良心とも呼べそうなハートウォーミングなサウンドを身上とするデスキャブ。通算7作目となるこの新作も、そんな基本路線は全く変わっていない。
ポール・マッカートニーやブライアン・ウィルソンに連なる珠玉のメロディーとポップセンスが満載の、素晴らしいアルバムだ。
前作までと同様に、本作も、カントリーやフォークロックがベースの、純朴なポップチューンが主体となっているのだが、今回は、サウンドプロダクションにかなり注力したとの印象を受ける。
どちらかと言えば、ライヴ感を重視したイージーフィーリングな作風であったこれまでのものと比較すると、デジタルサウンドを随所に散りばめたり、奥行きのある立体的で高音質のサウンドクリエーションを目指したりと、音像のあり方に拘ったものになっているのだ。
結果、完成したのは、Thick&Heavyな音の壁であり、更にメジャー感の増したハイグレードなロックアルバムであった。
ごく初期の頃から彼らのファンであった人たちが、そんな本作の作風をどう評価するかは微妙なところであるとは思うが、僕個人としては、よりパワーアップした今回のこのスタイルは、彼らにとって、大きな前進であり成長であると受け取った。
楽曲の基本となる部分はそのままに、新たなる方向性を探りつつ、そしてそれを高レベルで完成させた作品。
簡潔に表現すれば、そういったアルバムになると、僕は思った。
彼らの音楽がますます好きになれる、傑作だ。
We Have the Facts & We're Voting Yes
シアトルはべリンガム出身の泣きメロバンドの2nd album。地元シアトルのインディーレーベル、barsuk recordsからの11枚目のリリース。
泣きメロ。音数の少ない中、ベンのイノセントな歌声が最大限に膨らんで瑞々しい流れを生み出してます。
やっぱり大げさじゃないって事は、シンプルにいい。そしてゆったりしていてあったかいです。冬聞くのにぴったり。
体育の教科書に出てきそうな歌詞カードのヘンテコな絵みたいに、予定調和を少しはずしたヘンテコな曲もあって、その辺がただの泣きメロバンドと言わせないところがあります。
録音が1stよりも洗練されてます。でも前作のローファイ感の方が好きかな。
お気に入りはm-1,2,5,6,7,8。
Narrow Stairs
本編の方は言うまでもなく素晴らしいです。個人的にはM-2、M-3、M-4、M-9あたりがキラーチューンですね。
death cab for cutieを初めて聴く方も入りやすいと思います。
ちなみに国内盤のボーナストラック、M-3はスローテンポなった感じです。
M-11は本編のものとさほど変化はありません。
DRIVE WELL, SLEEP CAREFULLY:オン・ザ・ロード with デス・キャブ・フォー・キューティー [DVD]
このDVDを観る度に、彼等のファンで本当に良かったと、改めて思う。
ライブ映像は、その激しさとともに、器用さも不器用さも感じることができるし、
このツアーを通して、彼等の演奏が成長していったことも良く分かる。
観客の姿を見ると、つい親近感を覚えてしまうのも、デスキャブ独特の魅力ゆえかもしれない。
また、ステージ外の彼等の素顔を見ることができたのも良かった。
その真面目さや音楽への姿勢、素敵なオタクぶり(笑)などを知ると、
ますます彼等が好きになるだろう。
「Stability」リハーサル風景や、「Lightness」デモバージョンなど、
特典映像も満足いく内容。
これからも彼等のファンであり続けようと、改めて思える映像集だ。
Plans
メジャー移籍第一弾。叙情的だが力強さを秘めた歌詞と、キャッチーだが
数寄者の興味を惹きつける練りこまれたメロディの折衷がおりなす
UKギターロック系の名曲の宝庫。
シンプルで繊細な演奏が力強いスケール感を感じさせるし、
クラブ~音響系の人間の嗜好にも訴えるような、言い方は良くないが
ニッチな音作りもこのバンドの包容力というか、人間的なここちよさを
感じさせる。一緒にいて難しい話をしていても肩がこらないというか。
このタイプの表現が出来るバンドは久々ではなかろうか。
COLDPLAYは歌詞がヘナヘナなR.E.Mだとしか思えない人間にとって、この
充実した作曲能力は、21世紀を生きる同世代にも先人を越える
可能性を秘めた連中はゴロゴロいるんだぞ、という先への希望を素直に
与えてくれるものがある。
我々のロックへの求心力はまだ若々しく生きている。
そう思いたくなる一枚。もっと大きく育ってくれ(<何様のつもりだ)。