メランコリー(初回生産限定盤)(DVD付)
ロックファンの中には、ヴィジュアル系バンドや90年代Jポップを「ダサいと」感じるような人が、わりと多くはないだろうか。正直なところ、(優れた音楽が多いことを分かっているつもりだが)自分にも、そういう感覚があることを否定できない。しかし、最近の若手バンドは、それらの影響源をはばかることなく公言し、自らの音楽に反映させている…らしい。9mmとか典型例、なのかな?
そして、Qwaiは間違いなく、その典型とも言える現代のギターロックバンド。ざらついた感触のギターの音色、ダイナミックなドラム、エモーショナルなヴォーカル、しかしメロディはまさに90年代Jポップ! まるでZARDが下北沢のライブハウスでエレキギターをかき鳴らしながら歌っているようなそのサウンドは、しかし、歌謡曲過ぎず、シリアスなロック過ぎず、きわめて絶妙なキャッチーさを持っている。そしてそれは、間違いなく、カッコイイ。
初期アジカンとか、バックホーンとか、ロストインタイムなんかが好きな方なら、迷わず聴いてみる価値はあるのではないだろうか。また、メランコリックで親しみやすいメロディは、一般のJポップリスナーにも受け入れられるはず。彼らの独特な立ち位置が、今後どのような方向に進んでいくか、興味深く見守っていきたい。
まいにち富士山 (新潮新書)
山登りに関して全くの素人である私は、この書を読むまで富士山登山とは老若男女誰でもが気軽に楽しめる、所謂ハイキングだと思っていました。
ですから、これほど過酷な場面に遭遇する可能性を秘めているとは想像すらつきませんでした。
元々富士登山にあまり興味のなかった私が、読んでいくうちに怖いもの見たさも手伝ってか、一度は経験してみたい、火口の底を自分の目で見たい、自分の潜在能力を確かめてみたいと云う衝動に駆られつつ一気に読み終えてしまいました。
富士登山に関する知識が私と同レベルで、なお且つこれから「富士山登山でもしてみるかな」と思っている方は必読です。
B級ご当地グルメでまちおこし: 成功と失敗の法則
回を重ねるごとに評判を呼び、去年11月に姫路で行われた第6回では、2日間で50万人以上の集客となった「B-1グランプリ」。
その大会主催団体の専務理事としての思い、食のまちおこしのノウハウ、参加団体の組織と活動を紹介。
あふれているのは、「まち」へのおもい、「愛」。
かつて、そのまちが賑わっていたころ、その胃袋を当然のように満たし、明日への精力につなげていた食品、メニュー。
そのまちから、だんだん人がいなくなり、さびれ、それと同時に忘れ去られようとしていた…。
そんなまちを、どうにかしたいという有志たちが、まちのいたるところ、路地裏・横丁まで入り込み、探し当てたのが、
富士宮やきそばや八戸せんべい汁など。
そのため、B-1グランプリの目的は、イベントそのものへの集客よりも、現地に行ってもらうことである、と筆者は言う。
そう、まちおこしのためのB級ご当地グルメの大会なのだ。
子供のころ、横丁の店で、おなかを満たせてくれたあの食べ物。そこにただよう匂い、射していた光。なつかしく、
あたたかく、そして二度と戻らない時間。誰もが体験しているそんな空間を、食を通じ、
また現地をおとずれることで再現しようとしていることが、イベント成功の要因と思える。
「食」をもとめて、現地に出向きながら、その時の、自分に会いにいっている。そこで、「自分」にも会い、「まち」を再発見する。
B級ご当地グルメで有名になった町への来訪者のうち、大半が、近隣の町からとその町に住んでいる人たちのリピーターの増加というのも頷ける。