モーツァルト:ヴァイオリンとヴィオラのための協奏交響曲
いや~ずーっと気になっていて、そのうち買おうと思っていたのですが・・この値段になりラッキー。
北ドイツ放送響が秀逸。
ソリストのすばらしさは私なんぞがとやかく言えるものではありません。が、五嶋のVnは少しきつめに鳴るところも。
エッシェンバッハのテンポの変化は少し面白い。
今井信子 憧れ ヴィオラとともに
最高に感激した本である.まず弦楽四重奏団を内側から見た息詰まるような描写.音楽は言葉より直接に脳に訴えるだけ,お互いの関係は大変なのだ.それから Bartok が未完成のまま遺した Viola concerto の完成版の新しい版に納得が行かないために作曲者の息子を尋ねて Florida まで旅をする執念と行動力.今井さんはとにかく積極的で行動的で,話を読んでいるだけで気持がよい.子連れ狼などと言われるがそれがいっそ痛快なのだ.付録に付いているミニCD がまた名演で,かつ録音が良く,これがヴィオラの音と表現力だと明瞭にデモしてくれる (最後はフラジョレットだ). これほど感動的な音楽の本は稀である.そうして音楽はただ聴くだけのものではなく,演奏に参加するものだ,と力強く説かれる.その通り,と同感するが,少し彼女の CD の手持ちが少ないのも気になって来た.強く推薦.
モーツァルト:ヴァイオリンとヴィオラのための協奏交響曲変ホ長調ほか
このディスクってメンツは五嶋みどり+今井信子+エッシェンバッハ、録音はモノホンDSDでマルチ収録、そしてお値段三千円と「対日本向け戦略商品」の気合ムンムン。
この曲にはアーノンクール+クレーメル+カシュカシャンという「巨匠三羽ガラス」の決定盤(と言い切っちゃおう)があるのですが、同ディスクの「いかにもヴィルトゥオーゾ」って感じの大上段に構えた威風堂々の演奏と比べると、五嶋今井盤は溌剌とした元気のよさが持ち味って感じかな。スタッカートの跳ね具合とか、聴いてて楽しくなってくる。前者が「宮廷」を感じさせるとすると、後者はモーツァルトの溢れ出る「才気」を感じさせてくれるような。
音は「ワイドレンジ・高解像度」って感じはしなくて、割とオーソドックス。ただ定位のよさ!はバツグン。このディスクはマルチチャンネル再生もできる、次世代ディスクのフルスペック版。三千円なら確実に元は取れる。
伊丹十三DVDコレクション 静かな生活
知的障害者の恋愛や性や犯罪や差別といった、
避けて通ってしかるべきなテーマを映画化したのは凄い。
その勇気は凄いが、その伊丹監督の勇気以外に見るものはない。
数々の名作ばかりの伊丹作品の中では、駄作だと思う。
本作にはいろいろと説明不足に思える人物やシーンがあるのだが、
特に、ラスト近くで比重が大きく割かれている、
水泳のコーチの男の人間性がちゃんと描かれていないため、
見終わった後にもやもや感が残って仕方なかった。
監督にも手に余る映画だったのか、要所要所にエロや暴力などの
ショッキングなパートを盛り込んで、どうにか観客を繋ぎ止めようとしているが、
佐伯日菜子の白いパンツを長々と見せたりだとか、いらんだろ!
原作を読んではいないので何とも言えないところだが、消化不良感が凄い。
また、本作で知的障害者を演じた渡部篤郎さんは、
公開当時たいへん評価されたということらしいですが、
どのあたりが良かったのか、まったくもってわからない。
個人的には、健常者からみた(差別的な)知的障害者像であると感じた次第。
知的障害者の施設に滞在して一月ぐらい人間観察をしていたならば、
ああいう紋切り型の演技はできなかったのではないか、とも思う。
健常者が知的障害者を演ずることの難しさがわかる作品ではある。
バッハ:ゴルトベルク変奏曲
ゴルトベルク変奏曲の弦楽合奏版の編曲も行ったシトコヴェツキーの弦楽三重奏版の編曲を用いた演奏。ミッシャ・マイスキーにとっては二度目の録音。
その旧盤との違いは、演奏者の顔触れもさることながら、演奏時間の長さ。本作では80分を超す。それでいて弛緩した箇所は全くなく、緊張感が途切れることがない。集中力が途切れsさせることなく3人が持てる技量をぶつけ合っている。
そうでありながら、三人が各々バッハの原曲の旋律線を際立たせるだけでなく、アンサンブルとしても完璧。まるで三人の散らす火花が一つの炎と化すかのようだ。旧盤、そして弦楽合奏版よりも、この曲の美しさ、精神的な奥行きの深さを感じさせる。弦楽三重奏それ自体としてもちょっと本作に比肩する作品は思いつかない。
2006年の録音スタジオには創造の霊感が降り立ったに違いない。それほどの傑作だ。