腹貸し女(若松孝二傑作選3)
最高だー。
これは映画のサントラと言うより完全にジャックスのアルバムです。
早川のボーカルはヘタウマなんだけど訴えかけてくるものがあるし、歌詞が素晴らしい。歪むベースに絡むギター、歌うドラム。完璧じゃない?
ジャックスの1STが好きな人、ベルベッツやドアーズ、ソニックユースなんかが好きな人にオススメの一枚です。
連合赤軍「あさま山荘」事件―実戦「危機管理」 (文春文庫)
私はこの事件を知らず、しかし有名な事件なので、どんな事件かを知りたくて購入しました。
現場の人たちの緊張や心情が強く伝わってきます。
ただ事件のあらましを追ったものかと思っていましたが、感動的なドラマもありました。
この事件を知らない方々にぜひ読んでいただきたいです。
私はこの本をきっかけに、他にも近代の事件を描いたノンフィクションを読んでいきたいと思いました。
レッド(1) (イブニングKCDX)
「団塊の世代」には嫌悪感しか感じません。
今の団塊ジュニア以降の世代には現実感はないでしょうが、
私の学生時代にはまだヘルメット、タオルでマスクの連中がいました。
あさま山荘事件に象徴される「学生運動」の身勝手さを見て育ち、
学生になったら残党連中から「オルグ」されそうになり、
社会人になったら「元学生運動の闘士」で今は「某財閥系保険会社」に就職した先輩から、
保険に無理やり加入させられ、病歴を正直に書こうとしたら「そこは『ない』にしておいて」と
告知義務違反をさせれれた人間にとっては、「ふざけんな、このアホウども」と言いたくなります。
「大学に自治を」と叫び教授達を糾弾した先輩たち。
卒業間際になって糾弾した「教授」に就職のあっせんを頼み、「大企業」に入った先輩たち。
47ページで赤城が言う「でも吾妻君のお父さんは会社に搾取されているんですよ」のセリフ…。
諸先輩たちは「大企業の社員である俺たちも搾取されているんだ」と思っているらしく、
居酒屋で出てくる言葉は「俺たちは権力と闘った」「お前らはだらしない」でした。
個人的な恨みつらみは別として、この本で連中が本当にアホウだということが分かります。
世界征服をたくらみながら、なぜか「幼稚園バス」を襲う計画をたてる初期の「ショッカー」のようです。
心底この連中がアホウで良かったと思います。これでアルカイダ並みの知恵と実行力があったら、
日本はとんでもないことになっていました。
あの連中のことをこのような表現方法で描いてくれたことに感謝します。
この連中の使っている狂気の日本語、「それは小児的極左暴力主義だ」とか「このブルジョワ裁判は」
とか「異議なし」などを、きっと嘘だ、誇張だと思う世代もあると思いますが、本当に言っていたです。
私の友人はその一人に「お前は反動主義者だ。帝国主義の犬だ」と指さされ怒鳴られました。
友人は「俺は中国に住みたくない」と言っただけでです。
※当時の中国はまだ貧乏で都市部では配給券がないと外食もできませんでした。誰がそんな国に…
この連中のやったこととその思考を辿らせ、再確認させてくれた価値は充分に評価できます。
冷静に描かれているので、この連中にシンパシーを感じる人もいるかもしれません。
そういう人は是非「あしたのジョー」として北朝鮮に亡命してほしいものです。
実録・連合赤軍 あさま山荘への道程(みち)オリジナル・サウンドトラック
本編は190分の長尺作品でしたが、劇場に8回も通ってしまいました。
作品の前半部分に挿入されていた、学生運動の貴重なニュースフィルムの息遣いが、ジム・オルークの音楽とともに、自宅でよみがえってきました。
「遠山のテーマ」はまた、えぐられるようなせつなさでした。
惜しむらくは、渚ようこの「静かな最前線」などの挿入歌が収録されていなかったこと。これも聞きたかったのですが、本編DVDまたは渚ようこの「あなたにあげる歌謡曲2」を購入する以外、入手方法がなさそうです。
連合赤軍とオウム わが内なるアルカイダ
理解できない状況を「狂気」と言う言葉の中に閉じ込めてしまうことは、簡単である。しかし、著者は、同じ時代を生きてきた者として、「狂気」という言葉の中に閉じ込められてしまった人々の「熱いもの」に寄り添おうとする。問いは、ただひとつ「理想が殺意に変わる瞬間、彼らに何が起こったのか?」
今の時代、理屈をつける事、言葉で理解することは、さして困難なことではないのかもしれない。しかし、著者は、思惑超えた答えが返ってくるリスクを承知で、この本の大半を対談と言う形式にしている。そして、その手法は見事に成功している。そこから伝わる皮膚感覚は、侮れない。既に歴史となりつつある「連合赤軍事件」でさえ、その息遣いを感じることができる。この本の中では、「革命」も「活動家」もまだ生きているだ。この時代を貫く「熱いもの」は、これからの歴史の中でもポジティヴに描かれる事はないであろう。けれども、これからもこのような「熱いもの」が時代を動かしていくのだと確信した。