闘う三味線 人間国宝に挑む ~鶴澤清治~ [DVD]
住大夫は清治をさして、今でも「あの子」と言う。「やっぱり、大夫にせよ三味線にせよ、決まった相方見つけな、あきませんねん…」、と言う。彼なりの、清治を案じての言葉ではあろう。
60を過ぎて、清治は、髪は薄く、白くなった。だが、風貌は清治少年の頃のままである。いつも上目遣いで大夫の顔を見る。あの不安で、自信なげな少年の目…。越路大夫を失ってから、どこへ行くのだろう、落ち着きどころはどこだろう……。自分のことのように、そんな感想を持ってから、もうずいぶん年月が過ぎた……。
あの人もこの人も、もういない。すべからく先達は先に逝く。残された者はどう生きていくか…。どんな道を歩いていても、そのことがつらい。歳をとるとしきりにそう思う。
「やっぱり、私ら、決まった相方見つけな、あきませんねん……」住田夫の言葉がひどく記憶に残る。