ファントム・アンティクライスト(DVD付)
前作「HORDES OF CHAOS」は、アグレッションとメロディーのバランスが絶妙で、個人的にはこのバンドの最高傑作だと思っていたが、本作を聞いてそれ以上だと言わざるを得なくなった。
今作も、基本的には、前作と同一路線のスラッシュ・メタルだが、アグレッシブな所はよりアグレッシブに、メロディアスな所はよりメロディアスになり、それにより、曲の緩急・剛柔がかなり明確になったことで、ドラマティックさがグンと増している。
特筆すべきは、サミ(g)のギターパートの充実度である。
ミレ(Vo、g)の怒りに満ちたシャウトと、サミの華麗に紡ぎ出される叙情的なギター旋律との対比が、今作をより慟哭と悲哀に溢れたドラマティックなアルバムに仕上げている。
また、今作に付いてくるDVDは、単なるオマケではない充実度なので、DVD付属版を是非ともお薦めします。
DVD内容
イェンス(プロデューサー)、ミレ、サミのインタビュー
今作のアートワークについてのインタビュー
(約22分)
ライヴ映像14曲
(冒頭イントロ含む 2011-2008年収録)
(54分)
*詳細は、曲目リストのディスク2を見て下さい。
Live Kreation: Revisioned Glory [DVD] [Import]
ジャーマンスラッシュメタルバンド、クリエイターのライブDVD。2003作
80年代から、SODOM、DESTRUCTIONとともに「ジャーマンスラッシュ三羽ガラス」として
その地位を築いてきた彼らだが、今だに現役として活動を続けているのだから、
その熱意と体力には恐れ入る。このDVDは2002年のツアーを中心に、韓国、ブラジル
そしてヨーロッパ諸国での彼らのステージがたっぷりと堪能出来る。オールドファンからすれば、
「TERRIBLE CERTAINTY」、「EXTREM AGGRESSION」そして「COMA OF SOULS」あたりからの
楽曲はなつかしく、当時そのままの熱さと速さで演奏されるアグレッシブな楽曲には感銘を受ける。
ミレ・ペトロッツァのダミ声の歌い方、低いポジションで前屈した弾き方はかつてと全く変わらない。
熱い演奏。そして熱いファン。ただの直線スラッシュでなく、どこかにヨーロピアンな湿り気を感じるリフ。
メロスピ、メロデス全盛の今に、このようなピュアなスラッシュメタルバンドがまだ生きているというのは
なんとも頼もしいことだ。1982年〜2001年までのビデオクリップも収録され、彼らの活動の歴史が分かる。
Phantom Antichrist
ジャーマンスラッシュのベテラン、クリエーターの2012年作
80年代から活動するジャーマンスラッシュ界を代表する大ベテランバンド、
「Enemy Of God」、「Hordes of Chaos」と近作も素晴らしい内容であったが、
本作もツインギターによるリフで疾走する古き良きスラッシュメタルのスタイルを基本にしつつ、
随所にメロディアスな感触も織り込んで、いわばダークな叙情を含ませた仕上りである。
ミレ・ペトロッツァのヴォーカルも往年と変わらぬ、怒りと悲しみを内包する叫びで、
これぞクリーターという音像を描き出してゆく。完全なオールドスタイルであった前作よりも
知的な構築力をまとわせた楽曲は、オールドファンはもちろん、若いファンにも楽しめるだろう。
スラッシーな激しさとドラマティックな世界観を両立させた、これも見事な傑作である。
Terrible Certainty
より整合感を増した3rd。全ての面でレベルアップされており、名盤というのも頷ける。
曲作り/曲構成が格段的に巧みになった。
依然、激しいが前作のような形振り構わず獲物の喉元を噛み千切らんとする獰猛さは影を潜めたが、それに代わり全編に渡って、隙の無い上質なスラッシュ・メタルが炸裂している。
安定性と攻撃性を同じ楽曲内に共存させた奇跡の離れ業を見事、やってのけた。
尚、ギターがウルフ<g>から、イェルク・トリッツェに交代している。
リマスター版は9曲目〜13曲目がボーナスで、EP[OUT OF THE DARK...INTO THE LIGHT]をそのまま収録。
ミックスはご存知、ハリス・ジョンズ。音質もGood!!