母性の強さを描いた無冠のエンターテインメントおすすめ度
★★★★★
母親の勇気と行動力を描いた名作だと思う。ジャンルは違うが「ターミネーター」「エイリアン」で表現される母性を彷彿とさせる。
子供を対象にした卑劣な誘拐と、蛇頭を絡めた臓器密売を結びつけたストーリーは、スケールが大きくてすごく刺激的である。その背景には臓器移植をめぐる日本の法制度への憤りなど、社会派としての視点も感じられる。細かい点では、巨大テーマパークの都市伝説や拉致問題を思わせる誘拐方法や、主人公が逃走するルートでは警察と言う巨大組織の縄張り争いにつけ込むところなど、非常に上手くできている。
犯人グループの若い男女のボニー&クライド気取りの軽口には作者のこだわりが感じられたが、やや演出過剰な気がした。銃撃シーン以降、台風の中での対決シーンというクライマックスも、刑事ドラマのような雰囲気はやや物足りなかった。しかしストーリー構成やキャラクターの設定、そして大団円後のどんでん返しと十分楽しめる作品だ。正直言って「破線のマリス」に対してこちらが無冠の作品とは思えない。
ジェットコースター的小説おすすめ度
★★★★☆
この作者はテレビの脚本家だけに、どの作品も非常に映像的で、テンポがいい。特にこの「リミット」はジェットコースター的なドラマが進行し、スリリングな読書が楽しめる一冊だ。
連続幼児誘拐事件の犯人の次のターゲットは、なんと捜査を担当していた警視庁の女性警官の1人息子だった。息子の命を救うため、女性警官は捜査本部を出し抜き、誘拐犯と接触。裏切り者として警視庁からも追われながら、孤独な戦いで息子を救出しようと奮闘する。
この設定からして、ドラマ向き。
読者はこの女性刑事に共感しながら、ハラハラどきどきと次の展開に気をもむことになる。
終盤には、あっと驚く落ちも用意されているし、読んだ後は満腹感が大きいはず。
ただ、ちょっと長いので、緊張感が続かない人もいるだろう。この筆者の力量なら、もう少しコンパクトにまとめられたんじゃないかという気もする。
まさに夢のコラボです。
おすすめ度 ★★★★★
背筋にゾゾゾという感覚が走りました
。出来は今更ながら言うまでもなく素晴らしい。
ご参考になれば幸いです。大変お勧めですよ!!