今日、女の人生が結婚という形だけに収束されなくなった。だからといって恋愛そのものが女の生活から消えてしまったわけではない。それぞれの恋に苦しむ女たちの気持ちが彼女たちの日常に即して淡々と、けれどリアルに描かれている。どんなに痛々しい状態であっても、それぞれの幸福というものがきちんと存在するんだね。
しっくりくるおすすめ度
★★★★★
わるくはない。そう、わるくはないんだ。けれど決してよくもない自分の生活。
どこで間違えた?振り返ってももう戻れないところまできてしまっている。
ちょっとづつ壊れながら進んでいく。
人に知られたくない。
けれど一人では押しつぶされそうになる不安、孤独、寂しさ,怒り・・・。
誰もが隠し持って生きている。自分だけじゃない。
けれどやりきれない痛みはどうしたらいいのだろう?
この本のどこかに必ず自分にしっくりくる場面があると思います。
傷だらけで痛々しい。でも決して暗いわけじゃない。けれど、少し閉じたストーリーだと思います。
私の場合、一途に思いながらも破滅的なホテトル嬢秋代に共感しました。
明日のわたしたちはおすすめ度
★★★★★
魚喃キリコの人間描写力はとても優れていると思う。
漫画なのに、小説を読んでいるようにも感じる。
しかしそこには確かに存在感のある美しい線の絵がある。
愛したい。愛されたい。
必要とされたい。
自分のプライドを守りたい。
泣きたい。
泣けない。
みつからない。
理由が欲しい。
笑って、強いふりをしたり弱いふりをしたりして、表現できない自分の感情を他人にぶつけて、助けて欲しくて・・・
「Strawberry shortcakes」に登場する女の子たちだけでなく、わたしたちもみんな、自分として存在するために必死に毎日を送っているのかもしれない。
みんな自分が生きていられる理由を探しているのかもしれない。
そしてそれが見えても、理想を追ってしまうのかもしれない。
だからとても痛々しくて、たくましくもろくて、寂しいのかもしれない。
・・・そうやって、生きているから、かわいいのかもしれない。
大げさな動きはないのに、ラストでは少しだけ前に進んでいるような不思議ですてきな漫画。