ケレル。黄昏色の陶酔。ほんとうに稀な映画。おすすめ度
★★★★★
「殺人という言葉は海と水兵を連想させる。・・・」
いきなり入るナレーションと音楽とタイトルの出かたからして既に最高! ―やるせないギターが響く娼館フェリア、メインキャストがそれぞれ渋くてイイ感じ。―そして船の上甲板で黙々と働く水兵たちの中から、輝かしい裸体のケレルが登場・・・。
ペーア・ラーベンの神話的な男性合唱がくりかえし高鳴って、突然ホワイトアウトする輝かしい画面に、威厳にみちた文章が刻まれる…。―この感じ、このかっこよさはこの映画でしか味わえない!!!
ひとつの静かなクライマックス、同じ殺人者である友達ジルを裏切る密告のシーンで、このかっこよさは頂点に達する。―「・・・情報がある。・・・出所は言うな。・・・あのポーランド人、・・・例のジルだが、・・・・・・・4時20分のボルドー行きに乗る。・・・・・チャオ」
この辺から終盤にかけて、リリー・マルレーンのときと同様、ペーア・ラーベンの音楽が甘く、メランコリック、センチメンタル、リリカルで絶妙にロマンティック!・・・。
とにかくゲイという問題に関わらず、映像-音楽-役者-台本すべての点できわめて幻惑的な、完全に別世界へ陶酔できる、マルホランド・ドライブ級の、極上の映画です!
―あと、クリスチーネ・Fのナーチャ・ブルンクホルストがヌードフォトで出演してるのも、DVDだとはっきり見れます。お見逃しなく。
―と、ちなみに昔レンタルでダビングしたビデオはフランス語版でした。けど今回のDVDは英語版のみ…。個人的には仏語版の方がカッコイイ気がするんで、そこはちょっと残念・・・。
あまりの衝撃の強さに、うちひしがれてしまう。
おすすめ度 ★★★★☆
20年以上前に、池袋の映画館で初めて見た「ベロニカ・フォスのあこがれ」がついにDVD化!個人的には、勧善懲悪の全く逆(悪は栄る!)という結末に、ほとんど嫌悪感にうちひしがれて家路につきました。全くのバッド・エンディングに、「こんな映画も有るんだ」と衝撃的で、映画に対する見方が変わった作品です。勿論、全国ロードショーは無かったように記憶します。映画を見て「気分爽快!」というハリウド調の映画とは別次元の作品でした。しかし、個人的には、何度も見ようという気にはなれないのが本音です。マニア向けの映画だと思います。