俺たちに明日はない 商品

俺たちに明日はない 君たちに明日はない (新潮文庫)

弁が立ち、頭脳明晰な見た目イマドキの主人公が本業の依頼された企業からの社員に最後通告をする仕事をこなしながら恋愛にも忙しくする一方で、首を切られる側もその人たちなりの事情があり、人それぞれにドラマが描かれている。ストーリー展開が早く、'主人公中心であったのが、いつの間にか流れるように他の人たちにもスポットライトが当たっている。故に読み手を止めない面白さがあるのだが、極めて自然に登場人物の人間模様が楽しめる上で、(実際にはないのだろうが)こんな首切りの仕事はやりたくないし、首切り面接も受けたくないと感慨深く読み耽ってしまう。 君たちに明日はない (新潮文庫) 関連情報

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ボニー&クライド物はフリッツ・ラングの「暗黒街の弾痕」の方が粋で好きなのだが、アーサー・ペンのこの作品も大好きなのでどうしよう。

街でバッタリ会ったボニーとクライドが次から次へと銀行を襲っては逃げ、そして滅んでいく様を描く。

若者の死に溢れたアメリカン・ニューシネマの魁となった作品で、ジョージ・ロイ・ヒルの「明日に向って撃て!」、モンテ・ヘルマンの「銃撃」、サム・ペキンパーの「ワイルドバンチ」、ディック・リチャーズの「男の旅立ち」に並ぶ作品だ。

実際に起きた連続強盗事件を元に描くが、前科のあるクライドはカタギでやっていくには辛い身の上であり、何よりも銃を片手に強盗に興じる日々に充実感を得ていた。

そんな時に出会ったボニー。
彼女は退屈な毎日から抜けるため、クライドの危険な日々に惹かれてしまう。

そんな二人は何故民衆から支持されたのか。
禁酒法時代、大恐慌時代の荒廃したアメリカ。
働いても満足に金も得られず、まして働き先すらロクに見つからない世の中。
失業者で溢れ、銀行すら潰れていく世の中だ。
そんな時代が「ボニーとクライド」のような人間を生んでいき、応援した。
クラウドたちが銀行を襲い憂さを晴らすように、人々もそんな二人の活動を観て、自分の身の上の憂さを晴らしていたのだ。

気さくなクライドとお転婆なボニー。
ボニーはホームシックになりながらもクライドを愛し、クライドもそんなボニーを元気づけながら硬い絆を結んでいく。

史実では何度も入脱獄を繰り返しており、家族の下にも幾度も戻って顔を合わせていた。
「暗黒街の弾痕」ではクライドに相当する主人公が刑務所から出所する場面から始まり、再び罪を犯してしまい独房に入れられる様子が描かれていた。

後半から登場する運転手のC・W・モス(映画オリジナル)、
クラウドの兄貴バック、
兄貴のヒステリーな妻ブランチ
デコボコな3人が加わり益々騒がしくなる面々。
史実ではこのバックとブランチ以外にもメンバーがおり、レイモンド・ハミルトンという男がいた(劇中のC.Wモスと一部共通)。

同時に滅びの足音も静かに聞こえて来る。

直接的な性描写をせずに、キスと事後の所作だけを描いた点が良い。
匂わせるだけで二人が互いを受け入れた事がよく解るのが凄い。
その“匂わせた”だけのシーンを批判した当時の批評家どもの何たる見る目の無さ!

いいかてめえら!

イングマール・ベルイマンの映画はこの比じゃねえ!
「処女の泉」なんか女を仰向けにして両脚掴んで一発なんていうエグイ場面があるし、
「沈黙」なんか自慰行為を描写してんだぜ!?
嘘じゃないのよこれが。

大島渚の「愛のコリーダ」というチ●コブレイカーなんか(ry

それに比べたらボニーとクライドのささやかな後尾なんか“たかがその程度”の問題。
本当にささやかな一瞬何だよ・・・解ってくれよぉ(誰に言ってんだ)。

この後のニューシネマ作品郡は何を勘違いしたのか、露骨な性描写と残虐場面だけがエスカレートしていく。
射殺される人間の描写はこれ以前にもいくらでもあった。

全身蜂の巣?
黒澤明の「蜘蛛巣城」は三船敏郎がハリネズミになりましたが何か?
ボニーとクライドの壮絶な最期の“やりきった感”はもっと評価されるべき。

「風と共に去りぬ」のスカーレットなんか顔面に鉛弾ブチ込んでんだぜ?
スカーレットって本当スゲェ女なんだな(笑)
スカーレットに比べたらボニーなんてカワイイもんよ。

戦艦ポチョムキン」もジャムみたいに血がドロドロ流れてんだぜ?
これの完全版が発掘され公開されたのが確か1970年代だったが・・・それ以前にも「ストライキ」で虐殺の描写があったかな(血の描写はポチョムキンからだが)。

だが、それだけこの時期の映画が“おとなしい”ものばかりだったからかも知れない(マカロニウエスタンは除く)。

ボニー&クライド一味はワイルドバンチ強盗団の如き八面六臂の大暴れ。

何処に行ってもトラブル続きの毎日。
死を覚悟するような日も稀になってくる。

俺たちは何処で何を間違えたのか。
俺たちに明日はあるのか、ないのか。
ボニーの母親たちとの別れ。もう二度と会えないとも知らずに・・・。

ラストは「大列車強盗」を思い出させる強烈な光景だが、妙な静けさが画面を包んでいく。
因果応報な幕引きではあるが、世の中に縛られずに好き勝手に生き、好き勝手に死んでいった者たちの無言の哀しさが伝わって来る。

罪を犯してきた二人は、真っ赤なリンゴに祈りをささげる。
一つのリンゴを互いにかじり「あの世に行っても結ばれような」という願掛けか。
車に残ったボニー、外に降りてしまったクライド。
史実では二人っきりで車ごと、映画で離れた瞬間に二人の運命は決してしまう。

無駄に命を投げ捨てる若者の危うさを描ききった作品。 俺たちに明日はない [DVD] 関連情報

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昔、地上波で見た覚えが。ストーリは裏覚えだったが。
ジーンハックマンも出ていた。
吹き替え版で見てみたい。 俺たちに明日はない [VHS] 関連情報

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