冷静と情熱のあいだ―Rosso (角川文庫)
赤を先に読み、どうして・・と非常に悔しく悲しい思いで胸がいっぱいになりました。でも、後から青のほうを読み、読破したときにはとても幸せな気持ちになりました。数年たった今でも、私のバイブルのような一冊です。何度も読み返しています。この本のことは、できれば誰にも教えず秘密にしたいくらいですが・・。
しばらくしてからビデオも観ましたが・・、本でのイメージが強かったこともあり、少し物足りない印象でした。ビデオだと、時間が限られているため、本で書かれているようなゆるやかな生活の流れが表現しきれていない気がします。それがこの本の大きな魅力でもあるので、もったいないです・・。
女性なら、アオイのような生活に一度は憧れるのではないでしょうか?完璧な恋人マーヴィンとの暮らし、かえるの広場での一人の時間、昔の恋人との純粋な約束・・・。
この本を読んで初めて、本を読むときに、ページをめくるのがもったいない、先へ進みたいけど・・進みたくない、という気持ちになりました。大切な一冊になりますよ。
嫉妬の香り (集英社文庫)
癒し、音、香り、嫉妬、愛情。
この5つの言葉がキーワードとなり物語は進んでいく。
あるプロジェクトをきっかけに出会った男女4人。
プロジェクトを企画した政野とその妻である早希、
政野に仕事を依頼されたテツシと恋人であるミノリ。
何事もなく順調に滑りだしたかのようにみえた4人の関係が愛情と嫉妬のもつれにより歪んだ関係へと姿を変えてゆく。
増大した不安から生まれた疑心。
疑心がもたらした嫉妬。
人間の最も嫌悪するべき部分であり最も人間らしい部分である嫉妬という感情。
それは生きていく上では避けられない感情なのかもしれない。
人は人を愛することをやめない限り、嫉妬という鎖から逃れる術を見つけることはできないのかもしれない。
だとすればどうすれば良いのか?
おそらくそれは信じることに他ならないのではないだろうか。
見えないものほど、形のないものほど捉えられないことがたくさんあるがそれでも愛するものを信じる。
それしか嫉妬という感情を回避する方法はないように思えてならない。
右岸 上 (集英社文庫)
人生を2回生きる。
いや、2回生きて、2人以上の思いを持って生きる。
不思議な能力を持った九の幼少時代〜大人への人生を一気に描ききる<上>。
人生においてどうしようもない運命はある。
でもそれをいろんな形で受け入れて新しい人生を創っていく。
幼少時代から好きで好きでしかたのなかった茉莉と近づきそうで近づけない。
いつからか違う人生を歩いていってしまう。
そして運命に翻弄される、主人公、九。
男性が九のように迷ってしまう気持ちはとてもわかります。
そして目の前の生活に必死になる気持ちもわかります。
1つ目の人生を詳細にそして、運命に翻弄される切ない物語でした。
MANGA
エコーズ時代から辻さんのファンです。近年は作家活動に重点を置いていて、実績も残されていますので、ありえないと思っていた今回のバンド結成とアルバムリリースはうれしい限りです。
芸達者ぞろいのメンバーの演奏(爆音!)にのせてシャウトする辻さんは、エコーズ時代よりパワーアップした感じです。
エコーズともソロともちがう音楽。バラードもラップもあり、引き出しが多いなぁ、と感心すると同時に感動もしました。
歌詞は英語と日本語が半々ぐらいですが、ちゃんと訳詞がついていますので、僕を含めて語学に自信のない人もご安心を。
色彩豊かな一枚です。
ロックファンは必聴です!
冷静と情熱のあいだ―Blu (角川文庫)
これは江國香織著のRossoを併せて読む事で、同じ出来事を男女双方の視点から感じた時の違いを感じる事ができる作品にしあがっていると思います。
なぜ、男はひきとめてくれないのか…、なぜ、女はひきとめてほしいと言わないのか…。
ストーリー的にはRossoの方を先に読むといいかもしれませんね。