銭形平次捕物控 新装版 (光文社文庫)
1.ガラッパチの登場のセリフ。2.作者の語り。3.平次親分の受け答え。この最初の3行で魅せられます。「史実と比べると...」とかいうのはナシナシ、むしろこれが書かれた昭和初期の江戸っ子の「粋」なのかも知れません。加えて、ヒロインたちの容貌所作の形容が鮮やか。コレを読まずして日本語を語るのは、ちょっと待ちねぇおめぇさん。
銭形平次捕物控〈10〉金色の処女 (嶋中文庫)
嶋中文庫「銭形平次捕物控」シリーズの第10巻。
「百物語」「南蛮仏」「忍術指南」「笑い茸」「許嫁の死」「紅筆願文」「金色の処女」「お篠姉妹」「禁制の賦」「ガラッ八祝言」の10篇が収められている。
このうち「金色の処女」は平次のデビュー作として知られる。1931年に雑誌『オール読物』に出たものだ。ちょっと異様な物語で、スタート地点はこんなのだったか、と興味深く読んだ。
「忍術指南」がストーリーとしては面白かった。
あらえびす SP名曲決定盤 第1集
ご存じの方も多いでしょうが、銭形平次の原作者である野村胡堂氏のSPレコードコレクションからの復刻です。歴史資料としての価値はもちろんのこと、蓄音機の時代にこれほどまで水準の高い音楽が享受されていたという音楽性そのものに感動します。胡堂氏は当時のレコード音楽の第一人者であり、東京大学でレコード音楽を講義し、現在の天皇陛下が皇太子であられたときに西洋音楽の御進講も務めた人物です。できれば音の良いスピーカーで再現したいデリケートな音源であります。
銭形平次捕物控〈14〉雛の別れ (嶋中文庫)
嶋中文庫版の第14巻。
「駕籠の行方」「雛の別れ」「井戸の茶碗」「仏師の娘」「火の呪い」「鐘五郎の死」「赤い扱帯」「第廿七吉」「父の遺書」「五つの命」の10編が収められている。
いささか話の詰めの甘いものが目に付いた。事件の奇矯さにこだわり、オチの弱い「井戸の茶碗」など、もう少し工夫できなかったか。
「駕籠の行方」も後半が急ぎ足すぎる。
エッセイ「平次放談」を併録。