からくり剣豪伝ムサシロード DVD-BOX 2
主人公のムサシと、戦友だったコジローがついに雌雄を決する戦いの幕が
切って落とされようとする最終話の詰まったDVDBOX。
個人的な話で恐縮ですが、残念なのはこのDVD自体、人気がなかったのか、
1巻単独で発売やレンタルに出てこない故に発売当時にレンタル店等で見られないのが残念です。
天空の鷹 風の市兵衛 (祥伝社文庫)
久しぶりに読む新作です。
読みながら、文のリリカルさに驚かされました。
江戸の町の描写や、登場人物のセリフなど、おりおりに、さらりさらりと、宝石のような輝きが見られるのです。
少し長いセリフですが、引用させてください。
「(前略)国の童らがわたしに何か話してくれとやってきたら、青空の下に蝉の声が一杯に聞こえ、坂の下には人々の暮らす町並みが広がる江戸の町で、昔むかし、風の市兵衛という侍と出会った話を、してやります……」(352ページ)
文のきれいさだけではなく、今回は、ことさらに市兵衛の活躍ぶりが目につきました。
78ページのあたりでは、剣でなく、言葉での両替商とのやりとりがあります。これは、ほかの時代小説では、ちょっと読めないところでしょう。
また、クライマックスでの、殺陣のシーン。
テレビ時代劇ではおなじみのシーンではないか、と思われるかもしれませんが、著者の手にかかば、こんなにもすさまじい、いくさ場のシーンと化します。
タイトルの「天空の鷹」というのが誰のことなのか、読者はここで目の当たりにすることになります。
ああ、時代小説のファンでよかった。
そんな気持ちにさせる一冊です。
佳作です。
なお、蛇足ですが。
このシリーズ、巻末に解説がついています。
1巻から4巻までは、いらぬ解説と思っていましたが、今回の解説は、なかなかいいです。