サイドカーに犬 [DVD]
監督や竹内さんが似たような趣旨のことを発言していましたが、この映画は全くつかみどころのない映画です。
例えばアクションだとか、恋愛だとか、青春だとかに分類することが非常に難しく感じました。
観終わってすぐの感想は、「なんだか甘酸っぱいなぁ」でした。
作品自体もそうですが、挿入歌のRCサクセションの曲や主題歌のYUIさんの曲がそんな気持ちを増大させました。
これといったテーマがはっきりしないので万人に受け入れられるのは難しいかもしれませんが、個人的には好きな作品です。
特典DISCではメイキング・インタビュー・完成披露試写会・舞台挨拶が観られます。
なかでも舞台挨拶はかなり面白かったのでファンの方には2枚組みをお勧めします。
猛スピードで母は (文春文庫)
主人公は父のいない小学生の男の子。
彼の視点から、なんの飾りもない、さっぱりした文体で母との生活を綴ってゆく。
あまりにも平易な文と淡々とした展開なので、初読ではタイトル通り「猛スピードで」読み飛ばしてしまった。
けど二度目にゆっくり、三度目にじっくり読んで、その素朴な文字の中に散りばめられたカケラを拾い集められた時、
ラストシーンがじわじわと胸に迫ってくるようになった。
母の心を直接語るのではなく、あくまで少年の目に映る母の姿から描いている。
素朴なだけに、彼らの心の動きを、より淡く、暖かい印象として残してくれる良作。
ジュ・ゲーム・モア・ノン・プリュ (ちくま文庫)
1長嶋有さんの本が好き
280年代、90年代初めに小中学生だった
人向け?!
ちなみに僕はドストライクだったから、とても楽しく読めた。
1に該当しなくても、2にはまれば「あ~、それあったよね。」
みたいな感じもあるので、是非手に取って見て。
パラレル (文春文庫)
妻と別れてぷらぷらしてる元ゲームデザイナーの向井七郎、向井の大学以来の友人で社長の津田。二人ともいい味の駄目人間である。その度合いは町田康と張るくらい。
いとおしくなる人々は沢山描かれている。また著者は男性なのだが、女性か男性か分らない。そのフラットな語り口で90年代以降ののっぺりとして滑稽な空間からこぼれてしまいそうな破片を拾いあげ、描き出す。
結婚と離婚、加害者意識と被害者意識etcそういったテーマも自然と見つかるだろうが、長嶋有さんの小説はもっと私たちに「ひっかかる」小物が散りばめられていて、大味な小説では表現されない、戸惑いやもどかしさを私たちにもたらしてくれる。
もし興味が湧いたらポプラ社のサイト内の「ポプラビーチ」の連載『電化製品列伝』を読んでみるといいかもしれません。長嶋さんの著書に登場する電化製品について、ときに作品と絡めて、ときに時代的なものを感じさせながら綴られています。バックナンバーも読めます。長嶋さんのエッセイとして、そして「電化製品」のアーカイヴとして機能していて、いろんな意味で貴重だと思います。
「パラレル」と並行して読むと楽しさもひとしおです。