死刑執行人もまた死す[完全版] [DVD]
1942年6月にプラハで起きた、ベーメン・メーレン保護領(…ナチス・ドイツ占領当時下のチェコの呼称)副総督ラインハルト・ハイドリッヒ暗殺事件を下敷きにしたサスペンス物の一編。
設定は史実とは大きく違っているが、物語としては中々良く出来ていて上等なスパイ物を観ているような展開になる。特に終盤はジョージ・ロイ・ヒルの「スティング」ばりの仕掛けに唸らされる。
フリッツ・ラングは、作品全体を通じてナチス占領下のチェコ国民の過酷な状況を強く告発しているが、実は1943年の製作当時にはまだ詳細が明らかになっていない、映画以上に冷酷で凄惨な処置(リディツェ村抹殺など暗殺事件への苛烈な報復)が執られていたのだ…
基になった暗殺事件を知るには映画「暁の七人」も参考にしてくださいね…
フリッツ・ラング傑作選 死刑執行人もまた死す [DVD]
ナチに侵略されたチェコスロバキア・プラハの人々の苦悩と困難、地下活動、愛国心、ゲシュタポに対する怒り、自由と平和を求めるための高潔な魂と闘いを描いた作品。
総督を狙撃した男(B・ドンレヴィ「ボー・ジェスト」etc)を、偶然かばった若い女性・マーシャと父親(渋い名脇役、W・ブレナン「群集」etc)達が巻き込まれていくストーリー。
長尺でも、息もつかせぬ展開でぐんぐん引き込まれた。
ゲシュタポの執拗な取調べや卑劣で残忍なやり口が醜悪極まりない。
ナチに抵抗する地下組織内の卑怯な裏切り者と、祖国を愛し「密告者」にならずに命がけで高潔な魂を持ち続ける人々との対比、狙撃犯と目撃者マーシャ、マーシャの恋人の心の揺れ、家族の絆なども同時に描かれ、人間ドラマしてすごく見ごたえがあった。
サスペンスフルな展開、影の使い方などラストシーンに至るまで、あらゆる部分で感嘆した映画。
映画の締めくくりの言葉に、ナチとドイツを嫌って亡命したF・ラング監督の深い想いがこめられているような気がした。
日本では1987年まで未公開作品だったとのこと。
暗黒街の弾痕/死刑執行人もまた死す《完全版》 [DVD]
暗黒街の弾痕はジェットコースタームービーです。同時代のボニーとクライドを想わせるエピソードもありでも展開速過ぎて疲れますシーンシーンは佳いだけに勿体ないです。で執行人は名作画質は向上しているといいのですが。