天啓のパルティア 暁の魔女は夢をみる (ビーズログ文庫 ま 1-2)
月の託宣を受け、帝国の未来を占う姫巫女・パルティアは
その占いによって王子・ハルバートの婚約者になった。
国の民を思いやり、行動する二人は
占いで定められた婚約とはいえ、仲よくすごしていた。
国がお祭りにわく中、パルティアは託宣を告げた。
「暁の魔女が目覚め、飢餓も嘆きも遠ざける」と。
しかしこの託宣の後、パルティアが何度も襲われ。。。
シリーズ化ということで、前作ではちらりとだけ触れられた
パルティアの過去や、国の内部の民族問題などが
お話の主軸になってきています。
パルティアの元同僚の巫女で友人のメルキアが侍女になったり
登場人物も増えてきています。
公務に熱心すぎるハルバートにパルティアがやきもきしたり
ハルバートが独占欲を見せたり。。。
二人の関係もいい感じです。
前作がすごくよかったので、このシリーズ化は嬉しい。
次作も楽しみです。
天啓のパルティア 月の姫巫女が予言する (B’s‐LOG文庫)
満月の託宣を受け、国の未来を占う巫女・パルティアは
王子・ハルバートの婚約者である姫巫女に選ばれた。
二人は仲良くすごしていたが、
ある日、パルティアは王家断絶をしめす予言を受け。。
えんため大賞佳作受賞。
表紙の二人は繊細な雰囲気ですが、
中身は活力あふれています♪
パルティアは姫巫女という神秘的な立場ですが、
満月の夜に受け取る予言を
騎士たちに伝える新月の夜までに
異なる解釈をすることで未来を変えようと
努力する行動的な少女。
ハルバートもそんなパルティアを心配しつつ、
自身は幅広い視点で国を見、理想を尽くそうとする
いい王子様です。
けっこうお話は読めちゃうところもあるのですが、
お約束な展開も楽しい。
二人のキャラがいいし、仲の良い言いあいがかわいい。
脇役の謎の吟遊詩人や、
異能の少年といった登場人物もよかったです。
ぜひぜひ続編が読みたいお話でした。
アーリア人 (講談社選書メチエ)
時代も地域もべらぼうに広い民族の興亡を手際よくまとめた好著。読者にクリアな展望を与えうる実力は一朝一夕では身につかないので、この著者、たいしたものだ。玉石混交の講談社選書からもときにこういう本が出るから、まんざら捨てたものではない。
長大な時間軸の中で固有名が錯綜するので、メモ風の図表や地図があるのは嬉しいが、地図がすべて見開きになっていて、肝心の部分がノドにかかり見づらいのはいただけない(もっとも、これは編集者の不手際)。教科書だからといって無味乾燥なわけではない。『コナン』の背景にキンメリア人の伝説があるだの、露鵬・白露山兄弟はオセット人の末裔だのといった愉快な薀蓄も傾けられていて飽きない。宮崎市定や井筒俊彦の所説に、臆することなくやんわりとダメ出しをする侠気も好ましい。
ペルシア語やソグド人の歴史的・文化的貢献とかイスラーム古典哲学の故地としてのソグディアナといった、実に重要なトピックに目配りが効いているのもすばらしい。さすがにナチスのアーリア至上主義には深入りしていないが、その欠はたとえば横山茂雄の『聖別された肉体』やらゴドウィンの北極神秘主義の本などで補えばよろしかろう。
どの版元も選書のラインナップには苦労しているようだが、せめて本書くらいの水準で揃えていくという気概を見せてほしいものである。
天啓のパルティア 時の女神は戴冠する (B’s‐LOG文庫)
月の託宣を受け、帝国の未来を占う姫巫女・パルティアと
完全無欠王子・ハルバートの、第3作。
前回はパルティアの出生にまつわる謎がメインでしたが
今回はハルバートのメインのお話。
ハルバートの成人を間近に控えた時期、不思議な蛇にかまれ
国王は危篤に。
やがて見つかるハルバートと填世結社のつながりを示す書類。
ハルバートの腹違いの兄・ガイエン大公を後押しする人々。
ハルバートは詮議の場にかけられ。。
1巻から示唆されていた国王とハルバートの溝、
吟遊詩人・ラグーの秘密が明らかになる巻。
パルティアの秘密ももうひとつ明らかになっています。
だんだん受難度が高くなっているハルバートと
二人の絆を感じました。
天啓のパルティア 黄昏の王が舞い降りる (B’s‐LOG文庫)
月から、帝国の未来の予言を預かる「月の姫巫女」パルティアは
慣例どおり王子ハルバートと婚約中。
そしてお互いに想い合い、結婚を楽しみにしていた。
だがそんなパルティアが、帝国で弾圧されるジニアの民でもあることは
彼女たちとごく少数の人間だけが知る秘密だ。
けれどハルバートの母違いの兄ガイエン大公は、策をめぐらせ
パルティアに揺さぶりをかけ……。
緊張感の募る巻でした。
パルティアの失われた記憶が戻り、王への怒りは募り
その息子であるハルバートとの関係にも、大きな亀裂を与えます。
そしてパルティアの記憶をよみがえらせたガイエン大公が次々しかけてくる罠。
今回のお話は、めちゃくちゃシリアスでした。
パルティアとハルバートのラブラブも、基本シリアスで
重苦しい感じ。
でもシリーズとしては重要な転期の巻でした。