ラブロマ(5) <完> (アフタヌーンKC)
「ベタ」とは欠点を指す言葉でしょうか?
いいえ、必ずしもそうでないということは、この漫画を読めば分かります。
内容は題名のまま、あまりに典型的なラブコメです。
舞台は高校。
あるカップルが距離を縮めてゆく。
ただそれだけです。
しかしそれが、恐ろしいほどに直球なのです。
ラブコメというと、臭いセリフを豪速球!!
…というイメージがありますが、よくよく考えてみると、お洒落なオブラートに包まれていたり、変化球で読者を酔わせる作りだったり…。
ですが、この漫画はどこまでもベタなのです。
直球とはこういうものなのだと、改めて気付かされます。
ちまたの“豪速”“球”は、確かに球は派手だけど、“直”“球”ではないんだなぁ…と思ったり。
それでいて、バックには結構重たいものも。
完全に捨象してあるので、それが前面に出ることはないのですが、ほのかに匂って来ます。
そしてそれは、星野君の悩みに集約されるわけです。
恋人とはいえ、決して完全には理解しあえない他人同士ということ。
どうしても好き嫌いが出てしまう、人間関係。
善に成り切れない自分。
しかしある意味、そういう非日常な悩みが日常に溶け込んでしまう点も、いかにも内向派の青春っぽくて面白いのです。
さらにそして、そういう半インテリにとって、根岸さんという異性像は、そうとうな魅力を放ちます。
どんな問題であろうとも、一緒に真剣に吟味して、自分なりの答えを出してくれる。
そして、エキセントリックなところさえも、あっさり受けとめてしまう包容力。
いいですね。
作品世界の雰囲気も、居心地が良いものです。
登場キャラクターたちにとっての世界とは、本当に狭い範囲に限られている。
しかし、だからこそ完成されているかのような面持ちがある。
狭いけれども、密接で充足した人間関係ですね。
この漫画が多くの人の心を、それも内向的でオクテな男子の心を掴んで離さないのは、そういう理由があるのかもしれません。
この、表層的な欲求ではなく、心の奥底で願っているかのような、理想の高校生像に、惹かれるという点で…。
ヒカルちゃん
「友達100人できるかな」のとよ田みのるの同人誌です。
そのため、ページ数が50ページ以下であり、作者のファンでない方はおすすめしません。
「友達100人できるかな」に登場する椎名さん、ヒカルちゃんが主人公です。
ただし、世界観は大きく異なります。
しかし、「友達100人できるかな」の原型となる箇所がいくつか見受けられ、ストーリー展開やコマの演出も面白いと思います。
コストパフォーマンスは悪いですが、「友達100人できるかな」が好きな方は読んで損はしないのではないでしょうか。
FLIP-FLAP (アフタヌーンKC)
前作ラブロマを楽しく読んだ方には是非オススメしたい。
主人公が好きになった相手はピンボールマニア。
「私と付き合いたいならこの台のベストスコアを越えて」と、聞くだけならなんて我が儘な人だと思うような所も、筆者独特の緩すぎない引き締め方で和やかに、でも熱く話は進んでいきます。
どこまでもポジティブというか、とても元気になれる1冊。
余談ですが主人公がピンボールに挑戦する際、熱中しすぎて世界が自分とピンボールだけになるシーンがあります。
周りにいた人がぼやけて、輪郭だけになって、意識からいなくなる。
本気で何かに熱中した事がある人は、そうだよ こうなるんだよ!と思ったのではないでしょうか?(笑)
次回作にも期待しつつ、とにかく今一押しの1冊です!
とよ田みのる短編集 CATCH&THROW (ゲッサン少年サンデーコミックススペシャル)
僕はとよ田みのるの大ファンである。ひょっとしたら一番好きな漫画家かもしれない。
彼の作品の根底には藤子不二雄先生へのでっかいリスペクト精神を感じる。幼いころからドラえもんなどに親しんできた僕にはそこが凄くフィットするのだと思う
現代の漫画家の中で一番藤子不二雄先生の後継者にふさわしいのはこの人だと思う
まず作風が大らかである。肩の力が抜けてるというか。藤子先生の大きな特徴でもあると思うのだけどそういうのんびりした雰囲気が非常に心地良いのである。日々の生活に疲れたときに一休みできる場所というか
そして何といってもストーリーが抜群にうまい。本当に現代の漫画家の中でも突出してると思う。ラブロマから最新作まで全部読んでるけど(ブログにある没漫画も全部読んだ)「これはちょっと・・・」っていう話がひとつもない。基本的に一話完結の話が多いんだけど似たような話はほとんどないし話の作り方も色々工夫されてる。藤子先生も話作りが本当に上手いですよね。
あとこの人の作品はキャラに対する愛があってそこも好き。スターシステムを採用してることからも分かる通り、キャラを使い捨てにしない。
友達になりたいようなやつが多い。キャラたちのボケ突っ込みも楽しい
絵柄が癖あるかもしれないけど慣れたらこれ以外考えられなくなる(ジョジョみたいなもん)
短編集に対してなんか書けやと思われるかもしれないが、とよ田みのるワールドの入門としては文句なしでオススメである。(CATCH&THROWが一番好きかな)
とよ田みのるの魅力が詰まった素敵な短編集だと思う。
ファンとしてはここからどんどん過去の作品も読んでってほしいなーと思う
超キャッチーで親しみやすいマンガばかりなのにあんまヒットしてないのは本当に残念
ラブロマ絶版とかふざけんな講談社!!
本当に良い漫画家さんなので多くの人に読んでほしい。タケヲちゃん物怪録と併せて「オススメ」です!
タケヲちゃん物怪録 1 (ゲッサン少年サンデーコミックス)
タケヲちゃんは不幸体質である。
だから友達がいない。
いつも一人で生きてきた。
そんな彼女がいつもの通りの不幸から、住むことになったのが百鬼荘。
そこには人間を脅かしたくてたまらない妖怪たちがいた。
彼らがタケヲちゃんを脅かそうとすればするほど、タケヲちゃんは
幸福になる。
それは、彼女が初めて誰かに必要とされたから。
そしてタケヲちゃんは大家・座敷童子のパワーで、少しだけ不幸体質を
脱却できつつある。
第4夜のエピソード、実はタケヲちゃんを全力で守っていた妖怪の話が
大好きだ。
ツンデレ妖怪バンザイ。
タケヲちゃんは不幸体質である。
でも、友達は沢山いる。
どうか君たちがずっとずっと幸せでありますように。