エンジェル・ハウリング〈8〉帝都崩壊2―from the aspect of FURIU (富士見ファンタジア文庫)
世界は不確定なものばかり。
対立する2つの概念には、しかし境界がない。他人のことはわからない。かといって自分のことならわかるというわけでもない。
想いが報われる保証はない。人よりも辛い経験をしたり、どれだけの道を踏破したとしても、それによって自分に意味を約束してくれるような都合のいいルールは存在しない。信じられるものなど何もない。
しかし、それでも信じたいものがある。
この作品はファンタジーですが、登場人物たちの苦悩は私たちの誰もがどこかで感じていることだと思います。
作者さんの個性である、文章の独特な味わい。繊細だけどアニメ的魅力もある挿絵。テーマと作品世界の融合。とても魅力的です。
作者秋田禎信さんのファンの方、また上記の文を見てピンときた方は、このシリーズ通して読んでみることをお勧めします。
ライトノベルでは一番のお気に入りです!
エンジェル・ハウリング〈7〉帝都崩壊1―from the aspect of MIZU (富士見ファンタジア文庫)
全十巻からなるこのエンジェル・ハウリングの佳境となる話、第七巻。帝都へと入ったミズーの物語だ。『精霊アマワ』、『たった一人の姉アストラ』、『契約の謎』、『傍観する学者』-ミズー編における全ての謎がここで解けるといっても過言ではない、そんな巻だ。
・・・・正直、エンジェル・ハウリング(フリウ編も含めて)において、私はこの巻に一番のめり込んだ。次々と解けていく謎に思わず感嘆詞を声に出し、痛快さを覚えながらも、次の巻へと続くミズーの悲しい運命に心を奪われる。今までの話が全てこの七巻-帝都崩壊1のためだけに存在していると言わせるだけの(少なくとも私はそう思った)物語りがそこにあった。
最も感銘を受けたのはやはり精霊に関することだろうか。第一巻の冒頭でそれとなく綴られた詩(?)『かつて地図には空白があり空白には・・・・・』がここまで関係してくるとは・・・・!-いやここから先は貴方自身の目で確かめてみるといい。エンジェル・ハウリングというものの正体が見えてくるこの話に、まず引き込まれるだろうから。