ブラームス:ピアノ協奏曲第2番
ジーナ・バッカウアーはこの曲を得意としていたそうで、後にドラティと共演したディスクもありますが、サラマンダー(火龍)のような灼熱を身に纏って、頂点を目指して一心不乱に突き進むここでのバッカウアーとは別人のような演奏で、断然一回目のスクロヴァチェフスキとの当ディスクに軍配が上がります。
演奏としては名盤の誉れも高いギレリス、ライナー盤と似てはいますが、バッカウアーはこれを一撃で粉砕するほどの破壊力を持っており、音質もXRCDに引けを取らないダイナミックレンジを感じさせます。
スクロヴェチェフスキの指揮もバッカウアーに合わせて、推進力と振幅の大きな表現が相俟ってダイナミックなものとなっており、ロンドン響の優秀なプレイヤー達が支えている感じ。頼もしいです。
・パガニーニの主題による変奏曲 op.35
・リスト:ハンガリー狂詩曲 第12番
・ベートーヴェン:ピアノソナタ第9番 op.14
以上3曲が併録されていますが、パガニーニとリストの超絶技巧曲が物凄く、協奏曲に続けて鑑賞していたらグッタリと疲れてしまうほどの、恐ろしいまでの集中力が伝わってきます。
聴き疲れの原因は、コンチェルトの楽章間のインターバルが1秒以下しか設定されておらず、ほとんど一気に聞かされてしまったのも一因だと思います。
現在は絶版中らしくプレミアプライスでの出品しか見当たりませんが、この曲の持つポテンシャルの高さを思い知らされた一枚でした。 半世紀もの間、名盤と刷り込まれてきたデッカのB.Bコンビのダルな演奏を払拭してくれる衝撃の演奏でした。