アンデルセン童話集 (2) (岩波少年文庫 (006))
シリーズ2には、あまりにも有名な『人魚姫』『マッチ売りの少女』『白鳥』などが収められていますが、原作には、端正な絵画を思わせるような、ここまで緻密な描写があったことがわかり、改めて感動させられます。
自分の靴を汚さないように、パンを踏んで泥を渡ろうとした高慢な女の子の話『パンをふんだ娘』や、人生で何が大切かわからないお姫様を描いた『ブタ飼い王子』も、ブラックユーモアがぴりっと効いています。
そして、死んだ子を天国へ連れて行く『天使』、ヒバリを助けようとする可憐な野草の話『ヒナギク』、死神から幼い息子を取り返そうと世界の果てまで追いかけていく『ある母親の物語』など、美しく幻想的なお話には言葉を失います。また、最高傑作といわれている『ナイチンゲール』。死の床にある中国の皇帝を、美しい声で慰める野生の夜鳴き鳥、ナイチンゲールを描いたお話は、その素晴らしさのため、きっと絵本にできないのでしょう。
すばらしいアンデルセン! 親しみやすい訳なので、子どもから大人まで、いろんな人にぜひ読んでもらいたいと思います。
天使のパン くめさゆり・さんびか集
Youtubeで、「くめさゆり」さんとしての様子を知る機会がありました。そこで聴いた「道化師の夜」が収められているアルバムを探して、見つけたのがこの1枚。
久保田早紀の頃から、歌声が好きでした。
そしてこのアルバム。1曲目から、昔と変わらない彼女の声が、賛美歌を歌っていました。
お目当ての「道化師の夜」に辿りつくまで、BGMのように聴き流していたつもりが…突然に、心の奥の方で何かが応えてしまいました。
曲は「丘の上の十字架」。PCに向かって仕事していた手が止まり、ウルウルと涙で視界が滲んでしまうくらいの感動を覚えたのです…
教会で厳かに歌われるそれとは、明らかに異なります。
あくまでも「くめさゆり」が歌う賛美歌ですが、聴くほどに気持ちが、心が洗われていくような清々しさがあります。
アルバムタイトルの「天使のパン」も、お目当てだった「道化師の夜」も、良かった!
これからも時々、彼女がアルバムを出し続けてくれるのを楽しみにしています。