白鯨伝説 DVD-BOX
「宝島」のジョン・シルバーに心を奪われた人なら、一目見ただけで
エイハブ船長の原型がジョン・シルバーだと気づくでしょう。
不敵な笑みを浮かべ、一本足で戦う男。肩にはフリントじゃないけど
ロボットの鳥がとまってる。どこからどうみてもシルバーです。
ファンとしてそれは嬉しい。嬉しいのだが……。
出崎監督、SFは苦手なんじゃないだろうか。細かい突っ込みは
野暮だからいわないけど、マシンからデータを取り出すのに、
「3.5インチのフロッピーディスクのようなもの」がイジェクトされるって……。
なんでもありのストーリーにしたかったからSFを選んだ気持ちは
わかるんだけど、たまに「そりゃないです、出崎監督ゥ」と
ぼやいたのは本当です。まあ、でも、シルバーファンの人は、
必見かも。
宝島DVD-BOX
本作品を単なる傑作から、伝説級の大傑作にした最大の功績は「ジョン・シルバー」という男の生き様を描き切ったことに尽きる。
もう1人の主人公のジム少年がシルバーの事を「俺のシルバー」と呼びたくなる気持ちがよく分かる。
本当に器のデカイ男を目の当たりにすると、男の子は「あんな男になりたい」と思わずにはいられないのだ。
当時幼少だった私も心の中で「私のシルバー」と呼んでいた。
ひとたびシルバーが登場するや否や、ジムと同様にいきなり魂を鷲掴みにされ、DVD視聴の止め時が見つからず、
朝日が差し込む部屋で第26話(最終話)までぶっ通しで視聴してしまう。
余韻を味わいながら不眠不休状態で満員電車に乗って会社に出社するも、心ここにあらず、といった具合だ。
何故こんなに面白いのだ?
何故こんなに続きが気になるのだ?
その自問には常に『そこに「私のシルバー」がいるから』としか答えようがない。
本作品の本放送時には裏番組に「サザエさん」がいたので視聴率は上がらなかった。
「ファーストガンダム」の存在も本作品を「隠れた傑作」にしてしまった一因であろう。
恥ずかしながら、私も本作品の存在を再放送で初めて知った。
これほどの大傑作を食わず嫌いでスルーされてしまうのは余りにも惜しいし、歯痒く思う。
このレビューを読まれて、本作品に関心を持っていただけた方がお1人でもおられれば、こんなに嬉しいことはない。
そして本作品を視聴して下さった方の胸の中に「俺の(私の)シルバー」が息づいていただければ、それはもう望外の喜びである。
田舎のツタヤでも本作品をレンタルしているので、取り合えず第6話「敵か味方かジョン・シルバー」まで見て欲しい。
本作品のDVD−BOXを購入するか否かの判断はそれからでも遅くない。