チェ・ゲバラ伝
ノンフィクションや伝記などで重要なことは「どれだけ真実を
正確に伝えているか。」にあると思うがそういう点で本書は
最も優れた伝記のひとつと思われる。時代背景なども詳細に
書かれており、また考察も非常に深く、誰が読んでも「チェ・ゲバラ」という人の人間像が
正確に理解できると思う。
人生観に大きな影響を与えられる本というのはそうそう出会えるものではないが、
本書はそういう類の本であった。
読む人によって感じ方は様々であろうが何も感じない人というのは
いないように思う。それほど情熱とエネルギーに溢れた本であった。
本書との出会いに深く感謝している。
チェ・ゲバラ&カストロ [DVD]
テレビドラマの繋ぎ、という低予算面を考慮すれば、かなりよくできている映画です。
ただ、事実に基づいた面が多い映画でありながら、公平に見える部分が後半からボケてしまっているので、下手をすると、アメリカのプロパガンダ映画にすら見えてしまうでしょう。
今、豊かなキューバがあり、昔、民主主義を踏みにじり、アメリカと結託したバディスタを、倒した勇敢で聡明なカストロといえども、途中で非情な判断や、政治のミスをしたことは事実です。
それにより、一時であっても民衆が苦しんだり、ゲバラが革命戦争で死んだことをカストロが後悔しており、資本主義と共産主義が争うことそのものが人間としてお互いに不幸だった、という面を、恐らく制作者の意図として描きたかったのでしょう。
ですが、この作品は相当シナリオに造詣の深い人でないと理解ができないと思います。
フィクションであるならば、このような作品を作ってもさほど問題はないでしょう。
しかし、現に存在している国際問題に抵触する題材を、解りづらい形で書くのは、プロデューサーとして失策だったのではないでしょうか。
カストロを一人の「人間」として描き、成功もあれば失敗もあり、良心もあれば、非情なところもあった、とするのであれば、やはりオリジナルでしっかりと作ってもらいたいところです。
そのような作品であったならば、きっと評価は大きく違ったと思います。
チェ・ゲバラ モーターサイクル南米旅行日記
この本を読んだ直後に映画を観たのでとても余裕を持って鑑賞できました。二人は若さからだけではなく、本当に輝いて見えました。
革命家ゲバラになる前の旅行記ですが、彼の革命家としての功績を全く勘定に入れなくても彼はやはりすごい。
どんな思想にももたれかからず、多様な価値観にフラットに向かい合っていく姿勢は美しく力強い。
モーターサイクル・ダイアリーズ コレクターズ・エディション [DVD]
久々に、本当に良い映画を観たと思います。
歴史的な背景を抜きに、何の知識も持たずに観ても十分に楽しめる作品でしょう。
2人の旅の厳しさ、その一方で垣間見ることのできる若くて奔放な一面。エルネストと友人とのやり取りもまたユーモアに溢れ、話の節々で思わず微笑ましい気持ちになります。
また南米を旅する中で映し出される風景もそれぞれ美しく、無駄なBGMなどがほとんどないシンプルな作りにも好感が持てます。また、スペイン語の独特のリズムと、旅のリズムが、ちょうど歴史の重厚さと絶妙なバランスを保っているように思います。
もちろん、チェ・ゲバラという革命家についてある程度基礎知識をつけて観ればより楽しめるはず。いずれにしても、清々しい気持ちになれる秀逸の作品と言えるでしょう。